札幌大学経営学部は1968年に創設されました。北海道の中にある「経営学部」では,最も歴史の古い経営学部です。札幌大学は他の大学に先駆けて「経営学」の研究と教育の必要性を認識し,実践を重ねてきたのです。 さて,そもそも「経営」という言葉はどのような意味を持っているかを考えてみましょう。『広辞苑』を引いてみると,もともと「経営」という言葉は「力を尽くして物事を営むこと,あれこれ世話や準備をすること,継続的・計画的に事業を運営すること」とあります。これを日常的な言葉で表現すれば,「何とかやりくりしていく」という感じが近いでしょう。「経営」というものは,個人が生活していく上でのさまざまな行動,努力に関わることなのです。何かをやりくりして生活を豊かにしていくことが経営学の原点なのです。この意味で,「経営」は極めて身近な学問対象なのです。経営学を学ぶ目的は,経営者になるためだけにあるのではないことがおわかりでしょう。 しかし,「経営」がより体系的に整然と行われているのは,個人のレベルを超えた「組織」,それも経済活動の主たる単位である「企業」,我々の身近な存在としては「会社」なのです。その企業や会社においてどのように経営がなされているのか,あるいはどのように経営すればよいのかを考える必要性から経営学は生まれたのです。 経営学には、主に4つの領域があります。 1.狭義の「経営学」の分野といえる戦略論・管理論の領域 2.財やサービスをいかに売るかを考えるマーケティングの領域 3.経営活動を貨幣尺度でみていく会計学の領域 4.経営活動を情報の流れ,人々のコミュニケーション活動としてみていく情報コミュニケーションの領域 経営学を通して学ぶことのできる内容は,社会で活動するために必要な社会的あるいは技術的仕組み,専門技能の集大成といえるものです。それらを修めることにより,企業の経営手法を理解し発展させる知識だけでなく,次第に広く世の中のさまざまな動向までの理解の拡張がなされていくでしょう。なぜならば,企業活動とは一企業内だけで自己完結するものではなく,社会全体と強固に結びついた活動だからです。 このため,札幌大学経営学部では,上記の4つの領域をさらに拡大し,また一方では領域を分化させて,後述するような6種の系と18個のユニットを設定し,学生諸君の学び易さの便を図っています。 札幌大学経営学部は,経営学科とビジネスコミュニケーション学科の2学科で構成されています。6種の系と18個のユニットを用いて分類すると,経営学科が企画マネジメント系の「マネジメント」「企業・創業」ユニット,コミュニティビジネス系,会計系などの分野に対応し,ビジネスコミュニケーション学科が企画マネジメント系の「ビジネスデザイン」ユニット,社会心理系,情報系,などの分野がそれぞれ対応します。 しかし,系やユニットは両学科が一体となって構成しています。学生諸君は学科独自の科目も他学科履修によって履修可能なため,経営学部内の科目を柔軟に履修できるようになっています。つまり,自分の興味・関心のある科目をかなり自由に履修することができる環境にあるのです。大学は諸君を一人前の大人として扱いますので,主体的に科目を選択できるように配慮されているのです。この辺りが大学の大学たる所以です。 札幌大学経営学部のこれまで積み重ねられてきた歴史と伝統をさらに発展させていく原動力は,学生諸君の自ら主体的に学ぼうとする姿勢です。何を学ぶことが自分の人生を豊かにするか,という問いかけを常に持ち続けることが大切です。 |