会計情報についての理論的な知識の修得とその作成及び
 分析に関する能力を身につけることを目標にしています。

   
 


 会計情報はなぜ必要なのでしょうか。
 本学経営学部に在籍している(あるいは,したいと思っている)学生の中には,いろんなお店を経営してみたいと思っている人も少なくはないと思います。仮に,あなたが雑貨店を開業する場合を考えてみましょう。雑貨店の経営者となったあなたは,元手となる資金を使って,店頭に並べる商品や陳列棚を購入したり,商品を販売したり,目玉商品についてのチラシを作ったりと毎日大忙しです。そこで,この仕事をずっと続けたいと思っているあなたは,この店が資金面においてどういう現状で,これからどのようにこの店を経営していけば良いかについて気になってしかたがないでしょう。このような企業などにおける現状把握と将来的な計画の策定に対して,会計情報は非常に有用であるといえます。このことについて,会計情報を持たないで企業経営を行うことは,海図やコンパスを持たないで航海するようなものであるとよく言われます。
 また,雑貨店を経営しているあなたは,日々の商品の仕入や売上,在庫についても当然注意を払っているはずですが,ある日,以前納品してもらった仕入先から商品代金が振り込まれていませんという連絡をもらいました。あなたはすぐに以前の仕入先との取引事実の調査をはじめるでしょう。この場合にも日常の取引を会計情報として記録し,その裏付けとなる原始証憑(領収書など)をきちんと保管しておけば,このようなトラブルは即座に解決できるはずです。
 そして,雑貨店開業後ようやく一年が経ち,あなたは無事に決算を迎えることができました。わが国では,決算時点における会計情報に基づいて税金の申告を行います(これを確定決算主義といいます)。もし,日常の取引を会計情報として記録しておらず,決算時点における会計情報が作成できなければ,あなたは残念ながら定められた申告時期に正確な税金の申告をすることはできないでしょう。このような場合でも会計情報は必要であるといえるでしょう。
 では,企業などの経営に携わっていないならば,会計情報は必要ではないのでしょうか。いいえ,世間一般における会計情報の開示(ディスクロージャー)に対する要請は,年々高まっています。
 その一例として,最近では西武鉄道の有価証券報告書における故意の記載不正による上場廃止やカネボウやライブドアの粉飾決算による上場廃止が,新聞の紙面を賑わしたことをあげることができるでしょう。もし,会計情報が社会的に必要ではない,すなわち重視されていないならば,会計情報における虚偽記載に関して,当該企業に対する上場廃止という厳しい措置(上場廃止によって当該企業の株価は暴落し,その株式を保有する株主は事実上,株式売買を行うことができません)がとられることはないでしょうし,ましてや新聞の紙面で大きく取りあげられることもないでしょう。このことは,会計情報の信頼性が社会的に認識されているという証拠であると考えられます。
 以上のことから,会計情報は社会的に必要とされ,非常に重要な情報であることがわかってもらえたと思います。確かに,会計情報は重要な企業情報の一つですが,会計の知識のない人にとってそれは単なる文字と数字の集まりにすぎません。それゆえ,会計情報を理解するためには複式簿記と会計基準,原則などの知識が必要となります。本ゼミナールにおいて,私はゼミ生が実務的な会計処理を疑似体験したうえで,会計情報に関する理論的な知識を深めてもらいたいと考えています



2年次
 ゼミIでは,会計情報を作成する上で最も基礎的な部分を占める簿記に関する知識を修得します。ここでいう知識とは,理論的なものだけではなく,実務的なものを含めた幅広い知識のことです。簿記に関する様々な文献に基づいた学習を行うと同時に,民間企業の約6割で利用されている弥生会計(コンピュータ経理ソフト)を使用し,原始証憑に基づく伝票入力から月次決算での会計情報を作成するまでの一連の手続きに関して実際に会計処理を行ってもらいます。
 
3年次
 ゼミII・IIIでは,ゼミIで修得した簿記の知識に基づいて会計に関する知識を修得します。理論的な学習としては,会計に関する様々な文献や日本経済新聞などの会計関連の記事を題材として,それらをレジュメやレポートとしてまとめて各自報告してもらい,会計に対する知識を深めてもらいます。また,実務的な学習としては,ゼミTと同様に弥生会計を用いて,月次決算を踏まえた上で年次決算に関する会計情報を作成し,それらをどのように分析し,活用するのかについて学びます。

4年次
 ゼミIV・Vでは,これまでのゼミで修得した会計に関する知識の集大成として,自らテーマを決めて卒業論文の作成を行います。卒業論文を作成する上での形式や考え方など個別的に指導していくつもりです。
 また,卒業論文を限られた期間で完成させるには,計画性が重要ですので,自己で進捗状況を的確に判断できるように報告会などの開催を予定しています。




陳 忠徳
(ちん ちゅうとく)

【生年月日】昭和48年5月29日

【出身地】宮崎県

【最終学歴】
西南学院大学大学院経営学研究科博士後期課程

【専攻分野】
簿記論(勘定理論),会計監査論

【担当科目】
会計学総論,会計学入門,基礎簿記

【趣味】
散歩,熱帯魚の飼育(現在は飼育していませんが,コリドラスやプレコの生き様が大好きです),スキー(今年からはじめたので上手ではありませんが)など 私は,札幌大学に赴任して約1年になりますが,学生が研究室に訪ねて来てくれることも多くなり,いろいろな学生と話しをする機会を持つことができました。私の感想としては,札大生は良い意味で素朴で純粋な学生が多いと思います。そのため,学生自身のやる気次第で想像以上の成長が期待できると考えられます。このような成長を促すために,私は講義もさることながら,一人一人の学生と個人的に接することのできるゼミを重視し,時間の許す限り学生と接する機会を設けたいと考えています。