経営学はどこで,どのように形成・発展してきたか,
 また現代の最先端の企業経営問題とは何か

   
 


 このゼミでは,経営学という学問がどのように形成され,どう発展してきたか,また企業経営がどのように発展し,いま企業が直面している最先端の問題とは何か,について研究しています。
 世の中は,政治・軍事の領域でも,経済や企業経営の領域でも,自然界の現象を研究する自然科学と同じように,必ず原因と結果とが結びついています。この因果関係を究明して,理論を身につけるならば,ビジネスの社会でも強力な武器になります。つまり,経営理論,管理の理論を身につけることで,世の中の出来事がよく理解でき,どのような考え方をして,どのように行動したらよいかが見えてくるのです。
 ものの考え方,行動のしかたを理論的に研究し,人間の考え方・行動のしかたを歴史の中に学ぶこと,それが経営学の歴史を学ぶことです。このような見方を経営学史の見方と言います。これが経営学を学ぶタテ糸です。
 しかし,人間の考え方や行動のしかたは,国や地域が異なり,人種が異なると,いろいろな形をしています。ヨーロッパの人々の考え方,アメリカの人々の考え方,アジアの人々の考え方,アフリカの人々の考え方,それぞれに特徴を見出すことができます。ですから,それらを比較してみることも大切です。このような見方を比較経営学の見方と言います。これは,経営学を学ぶときのヨコ糸です。
 このように,タテ糸とヨコ糸とを編むことによって一枚の織物のように学ぶことを,このゼミでは究極の目標にしています。
 経営学の研究は,まだ100年の歴史しかありません。企業経営が近代的なやり方で行われるようになって120年ほどしか経っていません。それでも,アメリカ的経営,イギリス的経営,フランス的経営,ドイツ的経営など,先進国のモデルを見習って,日本企業が発展してきました。トヨタの奥田碩(おくだ・ひろし)会長は,いまのようなグローバル化の時代にも,日本的経営のよさを発揮することが大切だと述べています。
 そのトヨタは,売上高も企業利益も着実に伸ばしています。どうして,トヨタはこれほど強いのでしょうか。一方,アメリカのジェネラル・モータース(GM)は,いまでも世界一の生産台数と売上高を誇りますが,最近ずっと下り坂で,相次ぐ工場閉鎖とリストラの嵐に遭遇しています。こうした企業経営の差は,なぜ生じるのでしょうか。この秘密を解明するのが,経営学の社会的役目です。皆さんも,この秘密を知りたくはありませんか?
 いま,4年生,3年生のゼミ生は,経営学の歴史と比較経営学とを学習しながら,各自のテーマを持って具体的な研究をしています。皆さんも,ぜひ覗いてみてください。


 このゼミの特徴は,5つあります。
1.ゼミ応募のときに,いち早く先輩と出会うことです。ゼミの3・4年次生が,応募者の皆さんと面談します。
2.みんなが仲良くなるために,まずコンパで盛り上がることです。最近の事例:イタリアン・レストランを貸切で食べ放題・飲み放題,会費1000円。
3.3・4年次生は,それぞれグループをつくってテーマ別のグループ研究をしています。そのなかで皆さんも,研究のやり方を自然に身につけられます。
4.グループ研究のなかで企業や工場を訪問して企業経営の実際を見聞します。最近の事例:帯広のお菓子で有名な柳月の夢工場を訪問,温泉に1泊。
5.希望者を募って,海外旅行にでかけ,現実の外国を見て,日本企業の海外での活躍をみること。最近の事例:韓国・ソウル3泊4日,5つ星ホテルの旅。


ゼミI(2年次・秋学期)
 2年次の6月,ゼミ応募の時から,3・4年次の先輩たちとの出会いが待っています。9月には,まずコンパ。企業の社長さんや人事部長さんに聞くと,「自分で問題を発見し,何とかして自分で解決策を探る」という即戦力と感性の豊かな若い人財(人材ではなく,人は財<たから>だ)を求めています。その基礎的な能力として,日本語で文章をまとめる力,仲間のまえで報告する力,そして議論する力,これら3つの能力をつけるようにします。

ゼミII(3年次・通年)
 4年次生とグループを組んで,テーマ別に自分の関心のある事柄について,企業経営の実際を探求していきます。本や新聞・雑誌,インターネット・テレビ・ビデオなどのメディアをつうじて,いろんな情報源から系統的に情報を集め,整理し,知識の体系をつくるトレーニングをします。毎週のゼミの時間は3年次生だけで行いますが,時々,4年次・2年次ともミーティングをします。時々,ホットドリンクとクッキーが出ます。楽しく,かつ厳しく,勉強も学外研修もやります。

ゼミIII(4年次・通年)
 3年次の終わりの春休みに,卒業研究の大枠を決めて,春学期,夏休み,秋学期をつうじて,卒業研究に没頭します。テーマの見つけ方,柱の立て方,研究の深め方,論文の作り方を,グループ研究の中でしっかりと学びます。これが,就職してから,しっかりした仕事のできる能力をつくってくれます。仲良しクラブのような,いい加減なゼミでは,卒業したあと,きっと後悔します。大学は,自ら学ぶ力と,豊かな表現力と,体系的な知識をしっかりと身につけることができる場所だからです。企業や公務の現場では,大卒者に求められる能力は,問題発見・問題解決力です。発見して解決できれば,感動が待っています。12月の半ば,学生懸賞論文の提出にむけてがんばりましょう。
 しっかりと指導しますから,懸賞論文で懸賞を稼ぎましょう。文章を書いてお金がもらえる醍醐味を味わってもらえるように期待しています。卒業時にどんな自分ができているか,自慢できる能力をゲットしましょう。





小山 修
(こやま おさむ)

【出身,経歴,趣味】
 1944年4月,石川県金沢市に生まれる。金沢大学教育学部附属高校を卒業後,日本の経営学の始祖の一人,佐々木吉郎先生(後に札幌大学の初代学長になった人)に魅力を感じて明治大学経営学部へ入学。ついで同大学院修士課程,博士課程を修了。その後,日本女子経済短期大学(今の嘉悦大学)講師,高山短期大学講師を経て,札幌大学経営学部助教授,現在,教授。経営学の生成史(春学期),経営学の現代史(秋学期),現代社会と企業経営(春学期),企業経営問題の最先端(秋学期)の講義を担当。大学院では,比較経営学特論,比較経営学特別演習を担当。
 趣味は,音楽鑑賞,歌唱(演歌,クラシック,シャンソン),謡曲,ドライブ,海外旅行,読書,ゴルフ,山登り,山菜採り,写真,陶磁器集めなど。

【研究テーマ】
 現在の研究テーマは,@経営学史研究の方法と課題,A生産システムの国際比較,B企業福祉の国際比較,C北海道の食品産業研究の4つがあります。
 著書として,@『現代企業の管理と人事』(共著,中央経済社,1995年),A『現代企業の自己革新』(共著,学文社,1999年),B『現代生産システム論』(共著,ミネルヴァ書房,2000年),C『経営学史事典』(項目執筆,文眞堂,2003年),D『ベーシック経営学辞典』(項目執筆,中央経済社,2004年)などがあります。
 また学会報告では,「アジア企業経営研究の課題と展望−アジア経営学会10周年の軌跡−」(アジア経営学会編,『アジア経営研究』第10号,2004年),「経営学史の教育法」(日本経営教育学会第51回全国研究大会報告,2005年6月)が最近のものです。

【社会活動,社会貢献,対外活動など】
 社会的活動としては,市民講座での講演として,「スウェーデン人の考え方と働き方−暮らしと福祉−」(千歳市市民教養セミナー,2005年7月)がある。
 また各種の学会の役員を務めています。日本経営教育学会常任理事,日仏経営学会理事,アジア経営学会評議員,経営学・商学・会計学・情報科学教育会議理事・監事,東アジア経済経営学会理事などです。