経営分析の理論と実践について
   
 


 会社は,経営活動に必要な資金を調達し,この資金を元手として,機械設備を設置し,原材料を購入し,従業員を採用して製品を製造しこれを販売しています。
 経営活動の結果は,損益計算書,貸借対照表,キャッシュフロー計算書等の財務諸表に集約される。したがって,財務諸表は,経営活動の結果を映す鏡のようなものです。
 会社は,現在あるいは将来の投資家である会社や個人,資金を貸し付けている金融機関,税金を徴収する税務署や国税局,その企業で働いている労働組合,その企業と取引をしている企業,就職先を探している君,その企業の製品を消費している消費者など多くの利害関係者と共に存在しています。
 利害関係者たちは,インターネットその他の媒体を通して,経営活動の結果だけでなく,会社の経営方針,資本金,従業員数,本店支店の所在地,取引銀行,大株主名,製品の種類等を何時でも知ることができます。
 経営分析は,財務諸表分析あるいは財務分析とも言われ,会社の利害関係者が財務諸表を分析することによって,自分が何かを決めようとする時に必要な情報を得るためです。

どのような情報が得られるの?
 大きく分けて次の4つの情報が得られます。

1.儲かっているか否か(収益性といいます)が分かります。
 会社は利益を得るために経営活動を行っています。その会社には,設備投資等を沢山した大企業もあれば,それの少ない中小企業もあります。ですから,企業の規模に見合った利益を得ることが,会社を存続させ発展させるために必要です。必要な利益を得ているか?儲かっているか否か?は,会社の規模との関係で判断することが大事です。経営分析をすることによってこのことを判断することができます

2.健全性があるか否か(安全性といいます)が分かります。
 経費の支払いや借りたお金の支払いができなくなった状態を“倒産”といいます。
 倒産すると利益を追求することができなくなるだけでなく,従業員は解雇され,お金を貸していた銀行も貸付金の回収ができなくなります。日々の生活をその会社からの収入に頼っていた従業員の生活も困難になります。ですから,会社が倒産することのないよう健全性を維持することが大事です。経営分析をすることによってこのことを判断することができます

3.伸びているか否か(成長性といいます)が分かります。
 あなたは子供の頃と比べて成長しましたか? 何故成長したと判断しましたか? 身長ですか? 体重ですか? 知識の量と応用力ですか? 会社も同じです。経営分析では,過去のデータと比較することによって判断することができます。

4.経営は効率的か否か(生産性といいます)が分かります。
 経営は人が設備等を使いながら原材料を加工して製品を造り,それを販売しています。人と設備等を効率的に活用すればするほど会社が発展します。畑を耕すのに,鍬よりも耕運機のほうが効率的です。経営分析をすることによってこのことを判断することができます。

 以上に関する理論と技法を実践的に学びます。



【 2年次 】
 2年次では3級程度の簿記の力をつけるようにします。2年次のゼミは秋学期から始まりますので15回ほどの間に完全マスターを心がけましょう。日本商工会議所簿記検定試験3級を取得していない学生は,2月の検定試験を受験してもらいます。

【 3年次 】
 3年次では,関心ある会社の財務諸表を資料として利用しながら,経営分析の理論と実践を学びます。昨年使った資料は,札幌証券取引所に上場されている2社の財務諸表です。私のゼミで最も大事な1年間です。発表と議論,経営分析技法の修得です。
 本年,東京証券取引所1部上場会社を受験したある学生は,第三次面接で,その会社の財務諸表を分析して提出することを求められました。大会社になればなるほどゼミで学んだ内容を聞かれます。しっかり勉強しましょう。

【 4年次 】
 4年次の春学期は,就職活動のため,全員がまとまってゼミを行うことがほとんど不可能です。この間にそれぞれが卒論のテーマ,内容の研究をしていただきます。春学期の終わりには卒論目次を提出してもらいます。目次の点検をパスしてから卒論の執筆に入ります。





前林 和寿
(まえばやし かずひさ)

【出身】
納内村(現深川市納内町)0〜15才まで
妹背牛町 15〜27才まで
札幌市 27歳から現在に至る

【経歴】
昭和31年 旭川商業高校卒業
昭和39年 明治大学商学部卒業
昭和44年 明治大学大学院商学研究科博士課程修了

【モットー】
(努力すれば)道は開ける
相手の立場になって考えよう

【趣味】囲碁,釣り

【研究テーマ】
キャッシュフローの研究

【社会活動,社会貢献,対外活動など】
北海道ホッケー協会副会長
北海道学生ホッケー連盟会長
札幌学生野球連盟理事
北海道生産性本部理事
学校法人札幌大学理事
札幌大学野球部部長
札幌大学ホッケー部顧問