戦争と平和:現代の「死の商人」について考える
   
 
 

 ゼミとは,学生が個人ないしグループで,意見を発表し,討論を行う場です。 教授は,学生に知識を伝授するのみならず,学生自身もまた「先生」となって,お互いに知識を深めていきます。 そして学生は,このようなゼミの活動を通じて,専門知識を深めるとともに,プレゼンテーションの仕方, 論文の書き方等の技術を習得していきます。もちろん皆さんは,入門演習を通じて同じことを既に経験済みでしょう。 今度はそれを専門科目でやってみようというわけです。

 さて専門科目といっても,色々あるわけですが,当ゼミは,現代の国際政治や国際問題の勉強を通じて, この目標を達成する場となります。ただし国際政治の勉強をするといっても,経営学部の学生が対象ということもあり, 当面のところ「アメリカの戦争と企業」の関係についての勉強を予定しています。 今日アメリカが戦争を行う際,その背景には必ず企業利益の問題が絡んでくると言われています。 企業の利益とアメリカが行う戦争との関係を考えるのが、このゼミのテーマです。

 ただしいきなり専門的な世界に飛び込んでも,ほとんどの学生は理解できないでしょう。 皆さんの多くは「政治や経済って遠い世界のことだよな」と感じて今まで過ごしてきたと思われるからです。 そこでこのゼミではまず国際政治学についての基礎的な勉強を行います。 具体的には2年次に,第2次世界大戦後の国際政治の流れや構造,国際政治学の基礎概念について勉強してもらいます。 そしてこの基礎知識を基に,3年次にはゼミとしての共通テーマを作り上げ,より専門的な共同研究をしていきます。

 3年次の共同研究のハイライトは,11月の名古屋国際関係合同ゼミナール(略して合ゼミ)での報告です。 合ゼミとは愛知県の大学を中心に全国から約15校程度の大学が参加し, お互いに1年間のゼミの研究成果を報告しあう大会です。 今年で28年目になります。現在の3年生ゼミは、1980年代の日米貿易摩擦の問題を取り上げ、 「なぜ日本人は花粉症になったのか」というテーマで報告を行いました。





手続き編……………………

 ゼミで「手続き」として最低限行うことは,次の通りです。
 共通テキストの輪読しその内容を報告します。その際報告者は,a.じっくりと読み込み ,b.どんなことが書いてあったのか,c.読みながら浮かんだ疑問点・感想,d.テキストに関連して調べてみたことなどを,レジュメにまとめ,e.みんなで話し合いたいこと=論点を提供します。他方,報告者以外の参加者も,a.じっくりと読み,b.どんなことが書いてあったのか,c.読みながら浮かんだ疑問点・感想を持って,ゼミに臨み,報告者とともに一緒に議論をするということが期待されます。 そしてこういったプロセスを経て,ゼミ全体で共通の問題関心を作り上げつつ,参加者のそれぞれの研究を深めていく,ということをやります。

内容編……………………
 最近アメリカの対外政策と企業利益の関係を考えるうえで手がかりになりそうな本が 数冊出ました。例えば,本山美彦著『民営化される戦争−21世紀の民族紛争と企業』(ナカニシヤ出版,2004年)や P.W.シンガー著『戦争請負会社』(NHK出版,2004年)などです。 ただしこれらの本は,かなり専門的な内容を含んでいますので,2年次は基礎学力をつけるという意味で, 関連分野の短めの論文や本,映像資料等をみてもらう予定です。

スケジュール……………………
2年次後期 共通テキストの輪読。

3年次通年 合同ゼミナールに向けた準備作業。11月,名古屋国際関係合同ゼミナールで発表。合ゼミ報告書『鳩』を作成。

4年次通年 希望者に対して個別指導を行う。希望者は卒業論文を執筆。また強制ではないが4年生は下級生(2,3年生)の合ゼミ準備を手伝う





三須 拓也
(みす たくや)

 生まれは,広島県です。ただし広島に実際に住んでいたのは短く,茨城,東京,京都,愛知,アメリカで3カ所, イギリスで1カ所と転々としていました。 そんなわけで,「ご出身はどこですか」と聞かれるのがちょっと苦手です。 ちなみに一番長く住んでいたのは名古屋です。大学院生時代に9年間すごしました。

 専門は国際政治学です。札幌大学では全ての学部学生に対して「国際政治学」や「アメリカ政治外交論」を 教えています。今までに,2つの国立大学、1つの私立大学で非常勤講師として, 国際政治学関連の科目を教えたことがあります。

 また現在の研究のテーマは「戦後アメリカの対国連政策の展開」で, 具体的には国連平和維持活動やアメリカCIAの秘密工作の歴史を調べています。