企業理論と会社買収の現実
   
 



 2005年2月に起こったライブドアの時間外取引による日本放送株大量買い付け以来,会社買収の話題が頻繁に新聞やテレビなどに登場し,注目を集めています。
 近年,日本企業間,あるいは海外企業による日本企業のM&A(合併・買収)が急増しています。直接の背景としては,合併基準の緩和,持ち株会社の解禁,株式交換・株式移転制度の導入,会社分割制度の導入など,M&Aに関連する規制緩和や手続きの簡素化などが進展し,M&Aをめぐる制度環境が急速に整備されたという制度改革がありました。こうした変化をもたらしたより大きな構造的な要因として,IT革命に示される技術革新の進展,規模の経済性の上昇,さらに事業再組織化のもっとも安価な方法であることの認識,また資本市場の圧力の上昇などが挙げられます。
 いま,M&Aは事業の拡大だけでなく,再編や分離,再生の主要な経営戦略として認識され活用されています。さらに,経済のグローバル化の進展により,国境を越えたM&Aも増加しています。しかも,クロスボーダーM&Aを行うのは欧米諸国とは限らす,途上国の大手企業が日本企業に資本参加する例も増えています。
 このゼミでは,主に以下のことを学習します。
 会社は誰のものか?会社の価値をどう評価するか?M&Aで何が変わるのか?近年の日本や米国で生じた大規模なM&Aの背景・プロセス・結果はどんなものか?企業買収に対してそのような防衛策が考えられるか?敵対的買収のの現実化にどう対応すべきか?


 企業買収の理論を学び,現実の事例分析を通じて,今日の企業社会に対する理解を深めます。


●2年次――株式会社の基礎理論
●3年次――企業買収の理論と企業価値評価の方法
●4年次――事例分析





汪 志平
(おう しへい)

【出身】
 
1963年 中国安徽省生まれ

【経歴】
 1985年北京・清華大学自動化系卒業。1986年来日。1993年北海道大学大学院経済学研究科博士課程修了,博士(経済学)取得。
 1993〜95年北海道大学経済学部助手。1995年札幌大学経営学部に赴任,専任講師,助教授を経て,2002年教授,現在に至る。
 1999年〜2000年,米国Bentley College 金融センター客員研究員,ハーバード大学東アジア研究センター客員研究員。

【研究テーマ】
 @企業制度の日・米・中比較
 Aベンチャー支援制度の日・米・中比較
 Bコーポレート・ガバナンスの日・米・中比較
 C中国市場における日本企業の競争戦略

【趣味】
 山菜取り,山道散歩,名作鑑賞

【社会活動,社会貢献,対外活動など】
 日本証券経済学会,(日本)中国経済学会,(日本)中国経営管理学会会員。
 中国留日同学総会常務理事,北海道新華人華僑連合会理事,
証券経済学会幹事。