情報ネットワークに関する基礎的研究
   
 


 私の担当するゼミナールのテーマを一言で言い表せば「情報ネットワークの構築」となるでしょう。「情報ネットワーク」という単語に代表されるように,LAN(ローカルエリアネットワーク)の設計やサーバー構築など,情報システムを作り上げることが想像されると思います。もちろんこれが王道であることに間違いはありません。しかしながらここでは,もう一つの解釈,「情報を共有し利用するヒューマンネットワークの構築」も含まれています。すなわち,「ITを活用したコミュニティづくり,まちづくり」にも取り組んでいます。


 私のゼミナールでは『実践する』ことを大切にしています。座学で習ったことを実習を通して確かめる,学外でのフィールドワークの中で試してみる,など,実践することにより確かなものとして身につけることを目指しています。


【ゼミI】
「Webデザイン」で学習したホームページの作り方を復習するため, 自己紹介のホームページを作り,研究室のサーバーにアップして公開します。 ここでは,より魅力的なホームページ作成法を学習するとともに,Webサーバーの仕組みやホームページ公開の手法などについても学習します。さらに時間があれば,最近,Webビジネスの分野で注目されている「Webブランディング」について取り上げ,議論して行きたいと思っています。

【ゼミII・III】
ここでは,数人のグループに分かれ,「情報ネットワークの構築」や「ITを活用したまちづくり」に取り組んでゆきます。
 「ITを活用したまちづくり」では,月寒中央商店街とともに立ち上げた「記念日工房」の活動に参加し,まちづくりを実践します。昨年度までは,工房のIT化のお手伝いや地域の方々へのPC相談室の開催が主でしたが,本年度からはさらに商店街のホームページ作りなどにも積極的に取り組んでゆこうと考えております。実際の作業は,記念日工房で行う予定であり,商店街の方々などと協働することで,貴重な体験が得られると思います。
 「情報ネットワークの構築」では,まず,Windowsの基盤であるMS-DOSについて学習し,その応用としてネットワークコマンドを組み合わせたネットワーク診断手法を身につけます。また,WindowsサーバーやLinuxサーバーを構築する手順や手法も学習します。さらに,WWWに代表されるようなWebサービスの運用法を習得します。

【ゼミIV・V】
前期は就職活動などで全員がそろってのゼミナールは難しいのが現状です。そこで,春休み中に卒業研究のテーマを各自に考えてもらい,就職活動が一段落するまでは卒業研究に関連する課題をインターネットで調べ報告してもらいます。ここでは,レジュメの作成やパワーポイントを用いた発表などを学習することになります。卒業研究としては,ITに関する調査研究,システム構築 およびコミュニティー活動などに分類されると思います(最近の卒論のテーマを参照)。進捗状況・途中結果はホームページなどで公開し,何度かの発表会を通しディスカッションを行い,最終的には卒業論文としてまとめます。そのための,秋学期の最初には,論文講読や執筆の仕方などについて学習してゆきます。

【大学院】
これまで2名の学生が私のところで修士号を取得しており,現在も1名の学生が研究を行っております。テーマは「教育の情報化」に関するものと「地域コミュニティ構築」に関するもので,学会発表で成果を公表しております。





大森 義行
(おおもり よしゆき)

【出身】
北海道札幌市生まれ(釣り好きな父親の転勤に伴い,小樽・釧路など道内の主要都市を転々とする)。

【経歴】
 転勤による転校を避けるため,高校は寮が完備されている函館ラ・サール高校を選択(入学式当日まで男子校であることに気づかず・・・)。高校の化学の先生の影響(なぜか物理が得意な先生でした)を受け大学では電気・電子工学を専攻することを決意,室蘭工業大学電気工学科へ進む。まだ勉強が足りない(働きたくなかったのかも・・・)と思い大学院進学を心に決め,北海道大学大学院工学研究科(電気工学専攻)へ進む。修士課程,博士課程を無事に修了し,昭和61年北海道大学より工学博士を授与される。修了後,労働省所管の北海道職業訓練短期大学校(現,北海道能力開発大学校)に採用され電気科教官として赴任。同時に,北海道大学情報処理教育センターで非常勤講師を務め,教養部学生へのリテラシー教育や計算機システムの運用に関するノウハウを身につける。平成8年に1年間,千葉県幕張にある高度職業能力開発センターに異動を命じられ,情報通信分野の最新技術を学習する機会を得,平成9年札幌大学経営学部に産業情報学科が新設されるのに伴い講師として着任し現在に至る。平成15年から情報メディアセンター長を兼務し,大学の情報化,教育の情報化の最前線で活躍(?)している。

【趣味】
 代表的趣味は旅行とゴルフ。旅行は夫婦で行くことが多いが,学会のついでに付近の名所・名跡を見学することも・・・。体が大きいこともありホテルの浴槽は窮屈で,できるだけ温泉のある宿を求める。海外では,美術館めぐりや街の探索などが主。若かりし時には,リュックを担ぎ1月半ほどヨーロッパを歩き回ったこともある(危ない思いもしました・・・)。10年を越えるゴルフ暦を有するが腕前は上がらず,以前として100を切らないスコアに悩んでいます。少しでも足しになればと思い,ゴルフ部顧問を引き受けるが・・・。

【モットー】
「時間を有効に使おう」。

【研究テーマ】
 ここ数年取り組んでいるテーマは「教育の情報化に関する研究」です。なかでも,パソコンとインターネットを活用して「いつでも,どこでも」勉強できる学習システムe-Learningに関する研究では,少しずつ成果があがってきており,昨年度もいくつかの学会で報告を行いました。
●「e-Learningにおける受講状況把握手法に関する研究」,2005
PC Conference論文集,
pp.375-8,(2005.8.5-7, 新潟大学)
●「振替受講を活用した欠席を生まない情報リテラシー教育」,平成17年度大学情報化全国大会 E-5,pp.274-5,(平成17年9月7-9日,私情協)
●「振替受講制度を有する全学規模の情報リテラシー教育」,平成17年度情報処理教育研究集会講演論文集,E1a-02,pp.221-3,(平成17年11月4・5日,九州大学)

【社会活動,社会貢献,対外活動など】
 「開かれた大学」を目指し,西岡地域や月寒地域で「ITを活用したコミュニティ構築」の活動を展開。月寒中央商店街とは実験的拠点として「記念日工房」を立ち上げ,地域住人へのITサービスを提供している。月寒まちづくり懇談会委員,札幌市西岡地域情報化推進協議会副会長などを担う。
 高校生への講演(「自分でできるセキュリティ対策」,夢と活力あふれる高校づくり推進費事業(苫小牧総合経済高校),2005/5/24)や,商業系教員への講演(「教育の情報化に関する最近の話題」,釧路管内高等学校情報教育研究会(北海道厚岸高校),2005/11/29)など,高校とのつながりを重視した活動を行っている。また,本学における高大連携プロジェクトの先駆けとなった,共通科目「情報リテラシー」の平岸高校への提供では,企画・運用に関わるリーダとして実現に努力している。