経済社会の発展とともに会計学分野でも最近いろいろな展開・発展がみられます。このゼミナールでは会計学分野で最近発展しているテーマを中心に勉強します。具体的には論文などを読んでまず内容を理解します。そしてそれをまとめてみんなの前で発表します。そのまとめた文章を提出してもらい添削して返却します。そうすることによって，会計に関する力をつけるとともにゼミ生の表現力や発表力が向上することをめざしています。

　私のゼミの一番のセールスポイントは『日の出会』です。『日の出会』はゼミのOB会ですが，堅苦しい会合ではなく，在学生や卒業生の情報交換や親睦を目的とした年１回の集まりです。例年，６月の第３土曜日の夜に行っており，一期生で札幌市内で会社を経営しているA社長（『日の出会』の会長，彼の会社にはゼミの卒業生も就職しています）や同じく札幌市内で会計事務所を経営している二期生のB税理士をはじめ多くの卒業生が出席してくれます。『日の出会』を通して現役生や卒業生のつき合いがありかつ教師やゼミ生どうしが卒業後もつき合えるゼミにしたいと考えております。


　2年次後期では『キャッシュフロー計算書』を中心に勉強します。3年次では『活動基準原価計算（Activity-based-costing;ABCと略称されます）を中心に勉強します。4年次ではゼミ論作成要綱にしたがってゼミ論を作成します。
　原価計算は会計学の一つの領域ですが，その研究領域は会計学の全体にまたがっており，とても研究領域の広い学問です。財務会計（（ある会社の株を買おうと思っている投資家など企業の外部にいる人（利害関係者といいます）が株を買うために必要とする会計情報を会社が提供する会計領域を財務会計といいます））領域では製品などの製造原価の決定，管理会計（会社を経営している経営者など企業の内部にいる人が経営戦略などを考えるために必要とする会計情報を提供する会計領域を管理会計といいます）領域では設備投資などの意思決定問題が代表的な事例になると思います。原価計算をチャントしない会社は倒産することを考えると原価計算を勉強することはとても大切だと思います。
　実は私達は日常生活では無意識的に“原価計算”を行っています。例えば，お正月に叔母さんからお年玉\10,000をもらった高橋君は今，貯金をするか（A案とします），札幌ドームにJ1をめざして頑張るコンサドーレ札幌（地域の活性化という観点から札幌大学も応援しています）の試合を見に行くか（代金は\2,000です；B案とします）さらにはゼミ旅行に行くか（会費がコンパ代込みで\10,000かかります;C案とします）チョット悩んだすえにゼミ旅行に行ったとします。ではなぜ，高橋君は一番お金のかかるゼミ旅行を選んだのでしょうか。そうです。高橋君にとってはゼミ旅行に行くというC案を選択することによってゼミの友人との人間関係を維持するという最大の効用が得られるからです。意思決定の基本は“最小の犠牲で最大の効用”を得ることです。したがって，高橋君はペンと紙を持たなくても頭の中で立派に原価計算を行っていたのです。紙面の都合で詳しく書けませんが，これは機会原価（opportunity cost;C案を採用したためA案とB案が不採用になる場合に，A案またはBを採用したならば得られたであろう最大の“利益”のこと）という概念を使って考える問題です。耳慣れない言葉だと思いますし，“利益”のことを“原価”というのは不思議な感じがするかもしれませんが，詳しくはゼミに入るか原価計算論の授業で聞いてください。
　少し難しく勉強のことを書きすぎました（?）が原価計算の考え方というのは決して難しいことはありませんので勉強に関する大きな心配はないと思いますのでご安心下さい。足したり割ったりといったことをやるのではなく，考え方を大事にした勉強をしたいと思っています。