2000年度公法学原理
問題 行政法の基本的な考え方と仕組みについて、講義で使用した以下のキーワードを
できるだけ多く使って、キーワードを説明しながら要領よくまとめなさい。
なお、使用したキーワードは、キーワード欄および回答本文中とも線で囲みなさい。
キーワード:法典 客観的な基準 権利義務関係 道徳 (国民代表)議会 近代国家
市民革命 自由と財産 法律の目的と手段 許可制 行政代執行
授権と制約(規制) 私人 法治主義(法律による行政)
目的は手段を正当化しない 河川法 行政組織法 行政作用法 行政救済法
基本的人権 民事法・刑事法 政令 行政活動
札幌大学2000年度前期試験(7月26日実施)
行政法T(法学部) 担当教員:藤巻秀夫
問題1 以下のうち5つを選び簡潔に説明しなさい。(各8点:40点))
@90年代の行政法改革について簡単に説明しなさい。
A鉄杭の強制撤去事件の学習から何を学んだのか、簡単に説明しなさい。
B行政法の法源を説明しなさい。
C法律による行政の原理について説明しなさい。
D法規命令と行政規則について説明しなさい。
E行政行為概念について説明しなさい。
F行政行為の特殊な効力について説明しなさい。
問題2 行政行為の公定力やその他の効力に関する考え方を用いて、次の事例でAが
提起した訴訟がどのように処理されるかについて論じなさい。(20点)
(答えは回答用紙の裏面を使うこと)
Aの所有する土地を道路用地として利用するために、Bは土地収用法に基づいて一定の
手続を経て、この土地の収用の裁決を都道府県の収用委員会に申請した。
これを受けて収用委員会は、収用裁決(これは行政行為である)をし、これにより
この土地の所有権がBに移った。
収用委員会の収用裁決は、実は違法なものであったが、Aは収用裁決について争わ
なかった。しかし収用裁決から6ヵ月後に、
1 Aは、本件収用裁決が違法であることを理由に、収用裁決の取消しを求める訴訟
(取消訴訟)を提起した。
2 同時に、Aは、本件収用裁決が違法であればそれを登記することも違法である
として、Bの申請を受けて法務局長が行った
4 不動産登記法に基づく登記決定(これも行政行為とする)に対する取消訴訟を
提起した。
5 さらにAは、本件土地は違法な収用裁決によりBのものになったのであるから、
Bには本来所有権は認められないとして、Bに対して本件土地の返還請求訴訟
(民事訴訟)を提起した。
行政法T(法学部) 札幌大学2000年度後期試験(2001/1/24実施)
担当教員:藤巻秀夫
問題1 行政の裁量行為について、司法審査との関係も含めて、論じなさい。(配点30点)
(参照:行政事件訴訟法30条「行政庁の裁量処分については、裁量権の範囲をこえ又は
その濫用があった場合に限り、裁判所は、その処分を取り消すことができる。」回答は裏面に
問題2 以下の質問にすべて答えなさい。またカッコについては適切な語を入れなさい。
答えはすべて答案用紙に記入すること。(配点22点)
☆「かし」ある行政行為について
1 「2 かし」3 を漢字で書きなさい。
4 「5 かし」6 とは、行政行為の効力の発生を妨げる事情をいうが、それは
どのような場合か。2つ答えなさい。
☆行政行為の職権による取消と撤回について
7 「8 職権による」9 とはどのような意味か。
10 取消しの原因と撤回の原因は何か。
11 取消しの効果は( ア )効であり、撤回の効果は( イ )効であるのが原則である。
☆行政行為の附款について
12 附款の読みを答えなさい。
13 附款には5種類あるが、条件と負担のほかにどのようなものがあるか。2つ答えよ。
☆行政手続法について
14 行政手続法の目的は何か。
15 申請に対する処分(いわゆる許認可)について、行政庁は、( ア )基準を定め、
これを( イ )しなければならない。また、( ウ )期間を定めることも義務で
ある。
16 行政庁が特定の者を名17 宛人として義務を課し、またはその権利を制限する処分を
( ア )といい、これをするときは( イ )か弁明の手続をとらなければならない。
18 申請を拒否する処分や上記の処分(I)をするときには、行政庁はその( ア )を
提示しなければならない。その程度としては、最高裁は( イ )であるこ
とを求めている。
☆行政の実効性を確保する手段について
19 行政上の強制執行と即時強制をあわせて( ア )という。
明治憲法下では、一般法として( イ )があった。現在は、( ウ )義務の不
20 履行に対して用いられる代執行、金銭給付義務の不21 履行に対する
( エ )が原則的手段である。その他間接的手段としては、( オ )のほか、
表や許認可の取消しなどがある。
問題3 次の問題に答えなさい。(配点28点)
@無効の行政行為と取消しうべき行政行為についてそれぞれ簡単に説明し、
両者の区別の基準を明らかにしなさい。
A取消しや撤回が制限される場合を簡単に説明しなさい。
B条件と負担の違いは何か。簡単に説明しなさい。
C行政指導について、行政手続法はどのようなことを定めているか。簡単に説明しなさい。
D即時強制を簡単に説明しなさい。
E代執行の要件と手続を簡単に説明しなさい。
F直接強制について簡単に説明しなさい。
札幌大学2000年度前期試験(7月17日実施)
行政法・行政法A(外国語・経済・経営・文化学部) 担当教員:藤巻秀夫
問題1 次の文のうち、正しいものを5つ選び、記号で答えなさい。(10点)
1 行政庁へ立法を委任する法律については、必ずしも委任の目的や授権事項を
明示する必要はなく、白紙委任のような広範囲な一般委任をすることも許される。
2 法律の法規創造力の原則とは、法律のみが法規を創造することができるという
原則であり、これによれば、国民の権利義務に関する行政立法は、法律の授権
なしに行われてはならないことになる。
3 行政法の法源としては、成文法が原則であり、不文法が法源となることはない。
4 法令の解釈基準として上級行政機関から発せられた通達は、下級機関を拘束する
ものであるが、通達に示された解釈に従ってなされた行政活動の違法性の判断に
当たっては、裁判所は当該通達の内容を判断基準とすることはできない。
5 法律優位の原則とは、行政活動は法律の定めに違反してはならないという原則で
あり、この原則はあらゆる行政活動について妥当する。
6 重要事項留保説(本質性留保説)は、行政の行為が授益的か侵害的か、権力的か
非権力的かという観点から法律の根拠の要否を判断する考え方である。
7 法律の留保に関する見解にはさまざまなものがあるが、そのいずれによっても
伝染病の強制検診や鉄杭の強制撤去については法律の根拠が必要である。
8 法規命令のうち、国民の権利義務関係の内容自体ではなく、その内容実現のため
の手続を定める執行命令であっても、その制定には個々の法律の授権が必要である。
9 現在の行政の実務においては、法律または条例の根拠がなくてもある事業について
補助金を与えても違法ではない。
問題2 以下のうち5つを選び簡潔に説明しなさい。(各5点:25点))
1 90年代の行政法改革について簡単に説明しなさい。
2 鉄杭の強制撤去事件の学習から何を学んだのか、簡単に説明しなさい。
3 行政法の法源を説明しなさい。
4 法治国家、司法国家、行政国家について説明しなさい。
5 法律の留保について説明しなさい。
6 法規の概念について説明しなさい。
7 法規命令について説明しなさい。
8 行政規則について説明しなさい。
問題3(15点)(答えは回答用紙の裏面を使うこと)
産業廃棄物の最終処分場の設置について、廃棄物処理法は、「技術上
の基準に適合している」場合と「災害防止計画が策定されていること」
を要件とし、これに該当しないときは、都道府県知事は許可をしてはな
らないと規定している。
北海道では、産業廃棄物に関する指針を定め、業者に対して「付近住民
の同意を得ること」を求めていた。A業者が結局同意を得られなかったと
して、知事に対して最終処分場の設置許可を申請したが、知事は、住民の
同意がないことを理由に、不許可にした。
この事例に関する法律上の論点を明らかにしたうえで、知事の判断の適否
を論じなさい。
札幌大学2000年度後期試験(2001年1月29日実施)
行政法・行政法B(外国語・経済・経営・文化学部) 担当教員:藤巻秀夫
問題1 以下のテーマすべてについて説明しなさい。(各10点)
(1) 国家賠償法1条
(2) 国家賠償法2条
(3) 行政手続法の目的と内容
(4) 行政行為の特殊な効力(公定力その他)
(5) 行政の裁量行為と司法審査
(6) 違法の行政行為と無効の行政行為
問題2 以下の文章が正しければ○、間違っていれば×を回答用紙に記入しなさい。(10点)
(1) 行政手続法は、地方公共団体の手続にもすべて適用される。
(2) 行政手続法は、申請に対する処分、不(3) 利益処分、受理、行政
指(4) 導のほか、行政立法手続や行政計画手続についても規定している。
(5) 国民の国家賠償請求権は、憲法上規定されている。
(6) 損(7) 失補償請求権は、憲法に規定されている。
(8) 損(9) 失補償とは、違法な行政活動による損(10) 失を補償する
ことをいう。
(11) 加害公務員が、国家賠償責任を負わないのが原則である。
(12) 自治体の行政については、国家賠償の制度はない。
(13) 運転免許は、行政行為ではない。
(14) 違法な行政行為については、特別の機関による特別手続(取消しの手
続)によってのみその効力を否定できる。
(10) 時効の援用とは時効が成立したことを主張することであり、時効の利益の放棄とは
時効により債権・債務が絶対的に消滅することをいい、これについて行政法は民法
と異なる規定をおいている。
2000年度地方自治法・前期レポート課題
担当教員:藤巻秀夫 2000/7/7
* 下記の課題のうちどちらか1つを選択すること。ただし私としては、
@の課題に取り組んでもらいたいと考える。@の課題のほうがかなりの
努力を必要とするからである。
@ 各自の身近な自治体における法・行政・財政にかかわる問題を探り出し
て、これについて論じなさい。
例示:
新聞や雑誌、自治体訪問などにより、自治体が抱えている問題のありかや
所在を示す。
なぜそれが問題なのか、理由を示す(君の視点の提示)
この問題に対する自治体の考えやとられている対策の整理
問題に対する解決への視点や解決策の検討
結び:検討結果の整理・要約
A 自治体の諸問題を扱う文献(単行本か新書)を1冊とりあげて、その内
容を要約したうえで、各自が発見したことや考えたことを展開しなさい。
約束事
1 ワープロ・パソコンを用いること
やむをえず手書きの場合は、必ず原稿用紙(A4サイズ)を用いて、横書きとする
2 下記のメールアドレスに送信するか、A4サイズの用紙にプリントアウトして提出
3 A4サイズの用紙を用いる場合は、1行40字・40行の書式設定(横書き)とす
る最低でも35行以上とする。上限は設定しない。
4 このレポートは、50点満点で評価する。
誤字・脱字および使うべき漢字を使用していないときは1つにつき1点減点
作文形式を間違っているときは10点を減ずる。
5 後期開始から教務課で受け付ける。最終提出期限は9/22の講義時とする
メールで提出されたものは、私からの受付の返信があってはじめて提出されたもの
とする
6 提出されたレポートは、後日、評価したうえで返却する
以 上
札幌大学2000年度定期試験
地方自治法(担当者:藤巻秀夫)
次の問題を2問とも答えなさい。
問題1 条例と法令の関係について論じなさい。
問題2 地方分権改革について論じなさい。
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