シャリャーピンФ. И. Шаляпин(1873-1938)

ロシア・オペラを代表するバス歌手。というより、私個人としては「シャリャーピン・ステーキ」の人である。この人、革命後の1921年に亡命して「西側」を公演旅行して回っていたらしいのだが、日本にやってきた時に宿泊先の帝国ホテルのコックさんに「シャリャーピン・ステーキ」を伝授したらしい。上面に切り込みを入れてセロリやタマネギなどの刻み野菜を乗せて焼くこの「シャリャーピン・ステーキ」、我が家の定番料理でもあった。が、実のところ、この料理、決して高級料理ではない。農耕用の固い牛肉を食べやすくするための工夫だったのだ。脂がのって柔らかい高級和牛に飽き足らなくて、おもわず「シャリャーピン」してしまったこの人、労働者の祖国ソ連を追い出されたとはいえ、生粋の農民である。

墓所はモスクワのノヴォデーヴィッチ修道院。パリで死んだはずだが、ペレストロイカ期に分骨されてお里帰りしたらしい。

 

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