<!--This file created 02.7.25 1:31 PM by Claris Home Page version 2.0J--><HTML><HEAD>   <TITLE>yoshida33j</TITLE>   <META NAME=GENERATOR CONTENT="Claris Home Page 2.0J">   <META HTTP-EQUIV="Content-Type" CONTENT="text/html;CHARSET=x-sjis">   <X-SAS-WINDOW TOP=42 BOTTOM=757 LEFT=4 RIGHT=534></HEAD><BODY BGCOLOR="#FFFFFF"><P><CENTER><FONT SIZE="+1"COLOR="#D6D600">柳美里四部作『命』『魂』『生きる』『声』</FONT></CENTER></P><P><CENTER><B><FONT SIZE="+1"COLOR="#D6D600">家族の絆を結んだ命の絆</FONT></B></CENTER></P><P ALIGN=RIGHT>3年　吉田　藍</P><P>柳美里は何度も何度も祈り続けた。「私はあと二年で死んでもいいですから、東由多加を二年生かしてください。なんとか子どもと東由多加と三人で二年間生きたいです」そして、東由多加も何度も約束した。「何としても子どもにヒガシさんと発音できるようになるまで生きるつもりだよ」だが、二人の願いは叶わなかった。</P><P>1999年、柳は不倫の関係にあった妻ある男性との間に、ひとつの命が生まれたことを知る。未婚で子どもを産むか産むまいか、男と別れるか別れまいか、彼女が長い苦悩の末に向かったのは、かつての恋人、東のところであった。</P><P>『家族シネマ』で芥川賞を受賞した作家・柳美里と演出家・東由多加は18年前、柳16歳、東39歳の時に出逢った。役者と演出家という関係からはじまり、時には恋人であり、親子であり、兄弟であり、友人の関係であった。十年間同棲し、別れた後も会い、関係を絶つことはなかったという。</P><P>柳の心は胎内の命をどうするべきか、ただそれだけだった。しかし、衝撃的なもう一つの命の問題に直面する。東は食道癌に冒され、医師から余命八ヶ月と宣告されたのだ。これを機に、再会した二人は互いの体の中に「生まれくる命」と「死にゆく命」を抱えていることを知り、再び同居生活をはじめる。</P><P>形や方法は違うが、過去に家族崩壊を経験し、家族を捨てた彼らは、「命の絆」を通じてひとつの家族になろうとしていた。そして、柳が男児を出産した時には、血のつながりが全くない東が最初に抱き上げた。看護婦が「赤ちゃんのお父さんですか？」と声をかけると、柳は「いえ、違います。・・・家族です。」と答えた。</P><P>友人に支えられながら、二人は抗癌剤の治療を数多く挑戦してきたが、東の癌は増悪していくばかりであった。東は幻覚に襲われ、柳は身体の自由が利かない東の身の回りの世話をするために生後二ヶ月の息子、丈陽（たけはる）と別離した。その矢先、彼女は自宅でレイプ未遂に遭ってしまい、その後遺症がつきまとってしまう。</P><P>精神的にも肉体的にも苦しい生活で、柳は口にした。「いっそ東を殺して、わたしも死のうか。でも、丈陽は・・・」生きる希望を絶やさないが、耐え難い苦痛を伴う生活で、東が言った。「オレが死んだら、あんた死ぬんでしょ？」「オレが死んだら、あんた丈陽と二人で生きていけるの？」二人の絆は、もはや絆ではなく二人で一つだったのだ。</P><P>丈陽が産まれて約三ヶ月後、ついに東は力尽き永眠する。だが、彼は死んでも絆を失うまいとしていた。それは、作・東由多加、絵・柳美里で『月へのぼったケンタロウ君』と題された一冊の絵本を遺すことだった。死と直面し、死と闘い、そのギリギリの意識の中で東が遺したメモには「死んだおじいさんと六年後に会う話」と残されていた。この物語はもちろん東と丈陽をイメージしたものだ。</P><P>柳美里の周りで起こった出来事は決して架空のものではなく、全て実際にあったことである。『声』の中に、「わたしは東由多加の声だけを頼りに歩いてきました」という文章がある。だが、東を失った今、彼女の文章には、丈陽と生き続けようとする意志が確実に表現されている。世の中には、同じ屋根の下で生活していても会話をせず、顔さえも合わせない家族、つまり家族崩壊があるという。また、家族と生活を共にできなくとも、堅く絆で結ばれている家族もいる。柳と東、そして丈陽の絆は存在そのもの自体で結ばれていた。それは血縁であったり、命あるものだけでなく、東が亡くなって形を失っても解けることはなかった。『命』、『魂』、『生きる』、『声』と題され綴られた四冊の本には柳美里と東由多加の絆の深さがあり、家族自体に絆があるということを再認識できる。家族は時が経てば変化してしまうけれども、家族の今を持続し、崩壊しないで欲しいと願う。</P><P><CENTER><HR><A HREF="../33english/33topics.html">Topics</A><BR><A HREF="../index.html">Index</A></CENTER></P><P>　</P></BODY></HTML>