<!--This file created 02.12.18 9:04 PM by Claris Home Page version 2.0J--><HTML><HEAD>   <TITLE>tanaka34j</TITLE>   <META NAME=GENERATOR CONTENT="Claris Home Page 2.0J">   <META HTTP-EQUIV="Content-Type" CONTENT="text/html;CHARSET=x-sjis">   <X-SAS-WINDOW TOP=43 BOTTOM=860 LEFT=4 RIGHT=534></HEAD><BODY BGCOLOR="#FFFFFF"><P><CENTER><B><FONT SIZE="+1"COLOR="#0000AF">改訂版『石に泳ぐ魚』</FONT></B></CENTER></P><P ALIGN=RIGHT><FONT SIZE="+1">3年　田中　瞳</FONT></P><P>　『石に泳ぐ魚』は柳美里のデビュー作で、1994年の「新潮」に掲載された自伝的小説である。しかし、この小説の出版後、作中の副主人公のモデルとなった女性が、プライバシー侵害を理由に出版差し止めの訴訟をおこした。裁判では、このモデルの女性が1999年に勝訴し、その後柳美里は改訂版を出版した。現在は誰でも改訂版の『石に泳ぐ魚』を読むことができる。</P><P>　まず、ストーリーを見る。主人公の梁芳香は在日韓国人であり、劇団付の劇作家だ。彼女の書いた作品が韓国で上演されることになり、彼女は一度も行ったことのなかった祖国へ行く機会を得る。彼女は韓国で、劇団仲間の友だちである小学4年生まで日本に住んでいたという朴里花に出会う。里花の顔を見た芳花は「里花の顔が膨張するのではないかという恐怖を振り払おうとした」。彼女はその恐怖感で、里花の顔を真っ直ぐに見ることができなかった。はじめはそのような外見だけを見て、距離を置くが、交流を深めていくなかで、彼女の内面に惹かれるようになる。結局里花が宗教団体に入ることでこの物語は終わる。</P><P>　この作品は、困難な「生」をどのように生き抜くか、というテーマのもと書かれている。芳香は在日韓国人という影を背負いながら、自分の居場所を懸命に探し生きており、里花は顔に問題を抱えながらも、堂々と生きている。二人の困難な人生を一生懸命に生きている姿が描かれているのだ。</P><P>　実は韓国で、芳香にとって「在日」というものが、いかに中途半端な存在であるかを思い知らされる事件が起きる。彼女はある駅で、一人でチケットを買わなければならない状況に置かれるが、あまり韓国語が話せないため、カウンターで言葉が通じずに困惑する。それを見ていた韓国人たちは、彼女が日本語で話しかけても聞こえないふりをし、彼女に罵声を浴びせかけながら、周りを囲んだ。顔は韓国人でも韓国語は話せないという在日韓国人だとわかっての、差別的な行為であった。</P><P>　しかし、彼女は「逆にイメージが悪いんです、韓国語は。韓国って国も」と言い、自ら進んで韓国語を話そうとはせず、韓国人である自分の存在を自らが否定してしまっていた。また日本にいても韓国にいても、彼女は祖国というものを感じられず、自分は中間的な存在である、ということに大きな葛藤があるのだ。それを乗り越えようとする内奥の心理が彼女を様々な行為へと駆り立てている。</P><P>　芳香は、私生活で同時に3人の男性と関係を持ち、そのうちの一人は既婚者だ。彼女は自分の存在すら否定してしまい、誰かと繋がっていることで自分の存在を確認しようとする。しかし、誰と付き合っても自分の居場所は見つけられず、結局多くの男性と関係を持つことになるのである。それはただ虚しさの残ることでしかなかった。</P><P>　この小説の終盤、「私は憎しみでこの汚濁しきった世界と繋がってきたのだ」と書かれている部分がある。芳香は様々な経験を通して、この考えにたどり着いたのだ。</P><P>　作者の柳美里自身、在日韓国人であり、実際に彼女は女性としても様々な経験をしている。この作品は自伝的小説として書かれているため、多くの部分で彼女の体験や今まで感じてきた思いが描かれている。彼女は自分の過去をぬぐうように、このような作品を書き続けているのだろう。</P><P><CENTER><HR><B><FONTSIZE="+1"><A HREF="../34english/34topics.html">Topics</A></FONT><FONTSIZE="+1"><BR></FONT><FONT SIZE="+1"><A HREF="../index.html">Index</A></FONT><FONTSIZE="+1"><BR></FONT></B></CENTER></P><P>　</P><P>　</P></BODY></HTML>