<!--This file created 02.12.20 2:14 PM by Claris Home Page version 2.0J--><HTML><HEAD>   <TITLE>yamada34j</TITLE>   <META NAME=GENERATOR CONTENT="Claris Home Page 2.0J">   <META HTTP-EQUIV="Content-Type" CONTENT="text/html;CHARSET=x-sjis">   <X-SAS-WINDOW TOP=43 BOTTOM=860 LEFT=4 RIGHT=534></HEAD><BODY BGCOLOR="#FFFFFF"><P><CENTER><B><FONT SIZE="+1"COLOR="#00AF00">『猫の恩返し』</FONT></B></CENTER></P><P ALIGN=RIGHT><FONT SIZE="+1">1年　山田　裕介</FONT></P><P>　今年７月、スタジオジブリの新作アニメーション『猫の恩返し』が公開された。これは森田宏幸の第一回監督作品である。今までジブリ作品の多くは宮崎駿が手がけてきたわけで、今回彼は大抜擢されたわけだ。</P><P>　今までの宮崎作品は単なるアニメーションの枠を超え、さらに詩的な要素も組み込まれており、一種の芸術作品にまで達していた。そのため国内はもとより、海外からも高い評価を受けていたことは言うまでもない。</P><P>　そして今回『猫の恩返し』は監督だけでなく、制作スタッフもガラリと変わり、スタジオジブリからどのような映画が出るのか、と期待されていたものであった。</P><P>　この作品の映像は、技術的には、今までのCGを用いた立体的なものとは異なり、平面的な描写が多かった。線もだいぶ太くなり、少し雑な気もした。このあたりに新人スタッフを使った影響が出ているのではないだろうか。しかし今までのジブリ作品同様、キャラクターの声に声優ではなく、俳優を起用している。これは他のアニメーションには見られない所で、これによって他のアニメーションとは違う良さが引き出されているのではないかと思う。</P><P>　この映画の内容は、ある日主人公の女の子ハルは、車に轢かれそうになっていた猫を助けるのだが、不思議なことにその猫が彼女に話しかけてきたのだ。呆然とするハルを残しその猫は走り去ってしまう。そしてある日ハルの前に一匹の猫が現れ、ハルを猫の世界へ誘う。毎日の退屈な日々に飽きていたハルは、その誘いを受けた。しかしその返事に後悔したハルは、どこからか聞こえてきた謎の声を頼り、猫の事務所の主人である猫のバロンに助けを求めに行く。しかし大勢の猫に連れ去られ、猫の国に迷い込んでしまう。そして自分を見失い、ハルは猫になってしまうのだった。最後に助けに来てくれたバロンと共に自分を取り戻し、人間の姿に戻って元の世界に帰るというものだ。</P><P>　この映画には、宮崎監督作品の多くに見られるような、自然を主なテーマとした社会の人々に何かを訴えかけるような要素はない。むしろ『となりの山田くん』などを手がけてきた高畑勲監督作品に見られるような、現実的な描写でありながら、どこかユーモアのある映画と少し似ている。しかし、今回の映画には猫が二本足で立ち、人間の言葉を話すというファンタジーの要素が入っているため、アンチ・ファンタジーを掲げている高畑作品ともやはり違う。そういう意味で今回の作品は、今までのスタジオジブリ作品には見られないものであった。</P><P>　今回の作品は、原作が少女漫画であるため、確かに内容は子供向きかもしれない。しかしこの映画は、大人や子供、女の人や男の人関係なく見られるものだと思う。また、今まではジブリ映画といえば、なにかを考えさせるような深い題材ものが多かったが、『猫の恩返し』はただ楽しく、そして気楽に見られる。</P><P>　現在のアニメーションは、ただリラックスして見られるものが少なくなっている。悪いかどうかは別として、戦争を題材にしたものを始め、何かしら暴力的なものが必ずといっていいほど入っていて、それを何気なく、なにも意識しないで見ている。この映画にはその類のものがほとんどないのだ。ほとんどというのは、少しはそれらしき部分があるからなのだが、この映画そのものがファンタジックであるため、他のアニメーションとは全く違っている。少女漫画というと、世の中のわずらわしい部分や汚い部分、醜いものを度外視し、キラキラとした世界を描いているものが多い。少女漫画を原作としたこの作品は、不景気で何かギスギスした感じの世の中で、映画本来の娯楽性を漂わせている佳作である。</P><P><CENTER><HR><B><FONTSIZE="+1"><A HREF="../34english/34topics.html">Topics</A></FONT><FONTSIZE="+1"><BR></FONT><FONT SIZE="+1"><A HREF="../index.html">Index</A></FONT></B></CENTER></P><P>　</P><P>　</P></BODY></HTML>