<!--This file created 04.7.26 5:15 PM by Claris Home Page version 2.0J--><HTML><HEAD>   <TITLE>takagi39j</TITLE>   <META NAME=GENERATOR CONTENT="Claris Home Page 2.0J">   <META HTTP-EQUIV="Content-Type" CONTENT="text/html;CHARSET=x-sjis">   <X-SAS-WINDOW TOP=43 BOTTOM=758 LEFT=4 RIGHT=534></HEAD><BODY BGCOLOR="#FFFFFF"><P><CENTER><B><FONT SIZE="+2">『博士の愛した数式』</FONT></B></CENTER></P><P ALIGN=RIGHT><FONT SIZE="+1">１年　高木　香苗</FONT></P><P>　</P><P>　昨年の夏に発行された『博士が愛した数式』という本は、「全国書店員が選んだ　いちばん！売りたい本　本屋大賞　2004年度の第1 回大賞に選ばれた。</P><P>　著者の小川洋子は、1962 年岡山生まれ、早稲田大学を卒業し、88年に海燕新人文学賞、91 年には芥川賞を受賞した。</P><P>　この作品は、老数学者と派遣家政婦の「私」、その息子「ルート」（平らな頭の形が「√」記号に似ていると老数学者が名付けたニックネーム）の交流を通して人間の善の部分を描き出している長編小説である。</P><P>　交通事故のために80分しか記憶が持続しない老人のもとで、「私」は派遣家政婦として働き始める。彼は義姉の離れに住んでいた。彼は（ルート）がいることを知ると彼の態度はたちまちに変わり、ルートを学校帰りに立ち寄らせるようにした。ルートが加わった3人での生活は、実に充実したものであった。老数学者とルートは阪神タイガースの大ファンであったため、3人は夕食の時に野球について語ったり、老数学者が説く数学について語ったり、夕食後にはラジオで野球中継を聴くことが日課になっていた。「私」は、新聞のスポーツ欄と野球カードだけでしか野球のことを知らなかった老数学者と、今までどこにも連れて行ってあげられなかったルートのために、阪神対広島の野球観戦に行く。ところがその日の夜、老数学者が高熱を出し、「私」が泊まって看病したことが彼の義姉に誤解をうんでしまう。一旦は、彼の担当を首になるが、彼の義姉と和解をして、また働けるようになる。しかし、ルートの11歳の誕生会のパーティーが、老数学者と最後に過ごす日になってしまう。老いた義姉だけでは介護しきれなくなったため、彼は専門の医療施設に入ってしまったのだ。彼の記憶のテープは少しずつ飽和されていく、それでも3人の交流は続くのであった。</P><P>　この本で1番重要なポイントは、物語の後半で老数学者が「オイラーの公式」を示す場面である。この場面の解釈を、私たちは言葉として解釈するべきではない。なぜなら公式が象徴するのは言葉ではないからだ。数式の偉大さ、美しさをいかに感じ取れるかが大切なのである。言葉では表現できないほど、数式は美しい存在なのだということを述べている。</P><P>　老数学者の80分しか記憶が持続しない障害に対する苦悩を、私達は痛感せずにはいられない。また、彼にはまるで障害がなかったかのように接する、「私」とルートの姿が印象的である。徐徐に彼らは、本当の家族よりも家族らしい家族になっていく。</P><P>　人は不完全な存在、またつくるものも不完全である。しかし、数学世界には完全がある。老数学者はそれを「神様の手帳をのぞき見る」と表現している。その謙虚さが人を美しい存在にする。目に見えているものだけが、世界の全てではない。目に見えない世界も私達を支えているということを認識するべきである。</P><P>　あらすじでも述べたように、80分しか記憶が持続しない数学者とシングルマザーの派遣家政婦とその息子。一見、ちぐはぐに見える3人の日常は、人間味があり愉快でおもしろい。その中から、人との付き合い方を改めて再認識させられ、私達が気づかない人間の「善」の部分が見えてくる。小川洋子さんらしい作品である。なお、彼女は今年の4月に新作『ブラフマンの埋葬』を出版した。死についての物語だ。　</P><P><CENTER><HR><A HREF="../39english/topics39.html">Topics</A><BR><A HREF="../index.html">Index</A>　</CENTER></P><P>　</P><P>　　</P></BODY></HTML>