<!--This file created 05.7.30 6:14 PM by Claris Home Page version 2.0J--><HTML><HEAD>   <TITLE>nagasaki42j</TITLE>   <META NAME=GENERATOR CONTENT="Claris Home Page 2.0J">   <META HTTP-EQUIV="Content-Type" CONTENT="text/html;CHARSET=x-sjis">   <X-SAS-WINDOW TOP=43 BOTTOM=758 LEFT=4 RIGHT=534></HEAD><BODY BGCOLOR="#FFFFFF"><P><CENTER><B><FONTSIZE="+2">『終戦のローレライ』に見る私たちの生き方</FONT></B></CENTER></P><P ALIGN=RIGHT><FONT SIZE="+1">1年　長崎　由佳利</FONT></P><P>　</P><P>　『終戦のローレライ』は2002年12月に講談社より発売されたエンターテイメント小説である。フィクションでありながら記録文書のように写実的なこの作品は2005年3月に映画化され、公開から12日後には興行収入10億円を突破する大作となった。作者、福井晴敏氏は1998年に『TwelveY.O.』で第44回江戸川乱歩賞を受賞し作家デビュー、続いて1999年に『亡国のイージス』で第18回日本冒険小説協会大賞日本軍大賞を受賞した今最も注目されている戦争ミステリー作家である。</P><P>　まず、『終戦のローレライ』のストーリーを追ってみる。時は昭和20年、終戦も間近に迫った夏のことである。主人公・折笠征人は日本海軍の重鎮、浅倉大佐により極秘裏に戦利潜水艦・伊507に招集された。そこで兵達は五島列島沖に沈む特殊兵器・ローレライが収容されている特殊潜航艇≪ナーバル≫の回収を命じられる。その中でも征人は素潜りの腕を買われ、直接海に潜り、ナーバルを浮上させるという大任を与えられた。アメリカの潜水艦の攻撃を回避しつつナーバルに辿り着いた征人は、その中で他人の心を感知する能力のある少女パウラと出会う。実は特殊兵器・ローレライの正体はドイツで人体改造実験を受け、超能力を得た少女であったのだ。</P><P>　ローレライを保護した伊507の乗員達は命令によりウェーク島に到着するが、伊507は征人と征人の同僚を島に置き去りにして出航してしまう。しかし彼らは伊507をアメリカに引き渡すという計画を知ったため、仲間達にその事実を伝えようと必死に伊507に帰艦する。無線で浅倉大佐の「日本にあるべき終戦の形」をもたらす計画の全貌が明らかにされる。その計画とはローレライと引き替えに、第三の原子爆弾を東京に落とすというもので、彼はそれにより日本を根本から叩き直すつもりなのであった。すでに動き始めたその計画を阻止するために伊507の乗員達は、原子爆弾を搭載したBｰ29が飛び立つテニアンへと向かった。しかしそこに待ち受けていたのは大挙して押し寄せた敵艦艇であった。そして激しい戦いの末、見事Bｰ29を打ち落とすことに成功した。</P><P>　「作戦終了。本艦はこれより帰還の途につく。機関始動」これは伊507の艦長・絹見真一の台詞である。帰還しようとしたとたんに伊507は沈められてしまうのだが、乗員達のいかに困難な状況であっても決して諦めない伊507の姿勢は、敵、そして私達に畏怖と尊敬の念を抱かせる。彼らの生き方は私達読み手に生きることの大切さを説いているようである。</P><P>　この本の見所の一つに巨大な潜水艦同士が繰り広げるダイナミックな戦闘シーンがある。潜水艦が浮上・旋回・加速するさまが、実に写実的に描かれている。これほどまでに臨場感溢れる小説は他の福井晴敏の作品の中にも見られない。</P><P>　しかしながらこの作品は単なるエンターテイメント小説ではない。戦争とは凄惨で決して許してはならないものだということを示した作品である。例としてこの小説には、他人の肉を喰って生きのびた者、人種改良実験を受け続けた者、死んだ人間の幻に苦しめられている者などが多く登場している。彼らの体験はすべて空想ではなく実際の戦争であったことである。私たちは悲惨な戦争を起こさせないよう訴え、命の尊さを少しでも伝えなければならない。</P><P><CENTER>　<HR><A HREF="../42english/topics42">Topics</A><BR><A HREF="../index.html">Index</A></CENTER></P></BODY></HTML>