「究極のホスピタリティー」                 
2002年1月

今年も、海外で開催される国際会議や大会の案内が届いている。
会場での発表や交流自体が重要なのは勿論だが、開催地が特に関心がある国でもなく、
飛行機の接続も悪い地方都市で、英語圏もあまり通じそうもない場合、正直、気が重いこともある。
しかし、振り返ってみると、そんな土地には、いつも自然発生的で素朴なホスピタリティー(もてなしの心)があった。
たとえ運営や受け入れ体制が不十分でも、ホスピタリティー産業が発達した土地で開かれる、
ソツのない会議には無い何かが残り、結果としてその土地が大好きになった。
それは、日本の感覚で言えばボランティアに当たる手弁当の人たちに、
「自分はボランティア活動をしているのだ」という意識も気負いも無い事かもしれない。 
組織されたボランティアの「国民・市民代表として、この機会に、友好を促進し文化を理解してもらうため頑張ろう!」
という意気込みは、「会議や大会がそこで開かれるので、仕方なく来た」というビジターの心で空回りする事もある。
「遠くから来たお客さんを仲間にして、一緒に楽しもう」という日常レベルのホスピタリティーが嬉しいこともある。
北海道・札幌でも、今年は大規模な大会・会議が相次いで開催される。
機能面の充実による成果と、草の根交流の思い出を両立させるには、
組織力・運営能力・ホスピタリティー産業・自然体のホスピタリティーのバランスが重要である。
経験豊富なこの地方・都市にとっても、究極のホスピタリティーは、シナリオのない手探りのドラマとなる。