01-1.選挙法上の住所
最高裁昭和35年3月22日第3小法廷判決
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争 点
選挙権・被選挙権の発生用件である住所の意義。
様々な法領域において法律関係を処理する基準である住所の認定。
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事実の概要
昭和33年8月24日に行われた滋賀県虎姫町議会議員選挙の
選挙人であるX(原告・上告人)は、同選挙において当選人と
なったAの当選の無効を主張。同町選管、県選管に訴願するも棄却。
そこでXは「Aは昭和32年9月頃から長浜市に転任し、同所で
料理業・金融業を営んでおり、虎姫町にある住所は空き家となり、
送電も中止されている。したがってAの住所は長浜市にあり、
虎姫町の被選挙権はない。」として大阪高裁に提訴。
これに対し大阪高裁は、
「Aは長浜市において営業活動とそれに必要な生活を営んでいるが、
住所は生活の中心となる本拠であり、それをその人の生活の中心的
重要部分を占め、その本拠が生活全般の本拠となるか否かは、
その人の生活の客観的事情に主観的意思をも考慮して決めるべきで
あり、それをみるとAの住所は本件選挙当時同町にあったと認める
べきである。」と判事し、請求を棄却。Xは最高裁に上告。
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判 旨
公職選挙法及び地方自治法が住所を選挙権の要件としているのは、
一定期間一つの地方公共団体の区域内に住所を持つ者に対し当該
地方公共団体の政治に参与する権利を与えるためであって、選挙権
の要件としての住所は、その人の生活に最も関係の深い一般的
生活、全生活の中心をもってそのものの住所と解すべきである。
原判決は以上の見地に立って諸般の事実を認定しAの住所は
虎姫町から長浜市へ移転していないものと判示しているのであ
って、この原判決は首肯できる。として上告を棄却。
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