物、

I. A. 君の体験レポート
2001年11月2日5講時
於 『ロシア社会概論』

=== 係 ===

 

●まず、1ヶ月間の生活で重要な問題である、「食事」について。
 モスクワには豊富に物があるので、もちろん食料品も手に入る。
 24時間やっているスーパーマーケット多数存在する。
 少なくとも吹雪の中、長い行列に加わって寒い思いをしながら順番を待つ、というロシア・ステロタイプな事態には遭遇できない。

 

●最初に言っておこう。
 ロシアの商店には「接客」という概念が無い。
 あるのかもしれないが、日本とは異なる。
 デフォルトの設定で、店員は皆、不機嫌かつ無愛想だ。
 決してアナタが嫌われているわけではない。

 

▲以前、ある留学生はロシアに着いてから最初の1週間、店員が怖くてレストランにも行けず、商店でも何も買えなかったという。その間、何を食べて生きていたのか、彼女自身も「覚えていない」そうだ。 

 

●それは多少特殊なケースにしても、最初の買い物で店員に冷たい仕打ちを受け、ヘコむ可能性があるということは知っておいたほうが良い。
 特にモスクワでは減少傾向にあるが「カッサ方式」の店は、日本人には慣れないため最初は戸惑うだろう。
 まあ、現代の生活で「買い物」という行為を抜きにしては生きていけないので、多少無愛想かつワカラズヤな店員に当たってもニコニコしながら「いい加減にしろこのボケが・・・」と日本語で呟くぐらいの姿勢で立ち向かえば良いだろう。

 

●日本人の感覚からいって、ご飯食かパン食かの二択になると思うが、もちろんロシアは基本的にパン食だ。ちなみに日本で「ピロシキ」というと揚げパンの具が肉・野菜のもののことを差すが、元々、パン生地・パイ生地に具が包まれているものを総称して「ピロシキ」というので、揚げていない、中にジャムが入っているものでも「ピロシキ」といって売られている。一個12〜15ルーブルで非常にリーズナブルなのでよくこれを街角で買って食事代わりにしていた。
 街角で売っているもので「シャウルマ」も日本人の舌に合う。
 これはクレープっぽい固目の生地に焼いた肉・野菜が入っているもの。

 

●「日本食」と限定すると、モスクワには何軒かの日本食レストランがあって、だいたい一食・8ドル前後で食べることが出来る。あちらで少々厄介なのが、品物の値段がドル表示のところがあるということ。支払いはルーブルになるが、高級そうな店ほど、この傾向は強い。

・お米はロシア料理でもメインの付け合せとして食べることが出来る。
・しかし、日本のように白い米ではなく、大抵バターライスっぽいものになる。
・ツモ(ツェントル・メジドナロードナバ・アブラザバーニエ)の学食でも米を食することが出来るが、米の種類が違うので口に合わない人もいると思う。日本のいわゆる「白いご飯」が食べたいときはときは日本食レストランか、韓国料理レストランを利用するのが良いだろう。

・1ヶ月の短期留学で自炊を考えている人はいないと思うが、もし自分で米を炊くならオーストラリア米かイタリア米が、日本の米と似ているし、各スーパーマーケットで売られている。オーストラリア米は、パッケージのコアラのマークが可愛くて人気だった(愛称:コアラ米)。いや、もちろん味も良い。

・どうしても日本の食べ物が恋しくなったら、地下鉄「プロスペクトミーラ」駅近くにある店で食料品関係は一通り手に入る。が、日本からの輸入なので高いのは当然だ。

 

●モスクワにはマクドナルド、ケンタッキーフライドチキンが存在する。
・ケンタッキーは残念ながら行く機会がなかったが、マクドナルドには結構お世話になった。
・やはり異国で、慣れ親しんだ味に出会うとホッとする。店員の質も他と比べて良い。
・時節柄、牛肉を敬遠する人も多いと思うが、一度は行くことになるだろう。モスクワ限定メニューらしい「ロイヤルチーズバーガー」なんていうのもあるし。地下鉄「トレチャコフスカヤ」駅の地上すぐ近くにあるマックが行きやすくてお気に入りだった。美術館帰りに寄るにも都合が良い。
・ただ、土日はどこのマックも家族連れで激烈に混んでいるので気合が必要だ。

 

●「まとめ:食料編」

・日本食にこだわらず、パン食OKな人なら何も持っていくものは無い。
・到着直後は買い物に行く手間を省くためにもカロリーメイト2・3個持っていけば十分だろう。
・日本の物で「1日1回これ食べなきゃダメ」というものがある人は素直に持っていったほうが良い。
・チョコエッグはあっちにもあるので持っていかなくても大丈夫。

 

===  ===

 

●モスクワは寒い、といわれるが、私が行った年の冬は暖冬だったらしく、散々脅されていた「マイナス20℃になって、学校の先生が外に出たら死んじゃうから学校休みなさいって言うんだよ〜」的な事態には遭遇しなかった。

・基本的に札幌で着ていた冬装備+あちらで買った冬靴で過ごした。
・衣料品も大抵の物はある。ベネトンとかもあるし。
・値段も布・皮製品は安いので(確か皮ジャケット5000ルーブルぐらい。日本で買うより安い)、最初札幌装備で行ってみて、「こりゃいかん」と思ったら買い足す、で充分だろう。大体地下鉄駅周辺に最低1軒は衣料の店がある。デザイン的には・・・な物が多いが。
・ただし皮製品はフェイクもあるので要注意だ。

 

●同時期に行った留学生でモスクワで知り合った人が、「ロシアで日本人っぽい綺麗なカッコしてたら秘密警察に捕まって云々・・・」という大学の教授(札大ではない)の言葉を真に受けて、自前のコートをコーヒーで汚く染め上げ着ていた。そこまで行くとやりすぎだが、そこそこ目立たない格好というのは、トラブルに巻き込まれないためにも必要だろう。

・ちなみにあちらは男性は黒基調のコーディネートが多い。

 

●「まとめ:衣料編」

・札幌装備でいけると思う。現地で買い足し可能。
・アエロフロートを使うならスリッパを貰って帰ろう。寮の自室の中で重宝する。

 

=== ン・係 ===

 

●留学の際、日本との連絡が心配な人も多いと思う。

・現在、モスクワにもインターネットカフェがあるので、メール主体の連絡を考えている人はブラウザ閲覧可能なフリーメールを一つ持っておくと便利。
・ただ、フォントの関係で「日本語メールを読むことが出来るが、返事はアルファベットでしか打てない」という事が多々ある。
・地下鉄「アホトニーリャッド」駅(赤の広場地下)と繋がっている地下ショッピングモールに1軒、ネットカフェがある。もし地下鉄「プロスペクトベルナツカバ」駅近くのツモの寮に暮らすのなら、寮内に韓国人系経営のネットカフェがあるということを聞いたことがあるので、そこも利用できるだろう。

・ノートパソコンを持って行って接続、も勿論可能。だが、個人電話回線のある寮に当たらなかった場合、マインスイパー専用ゲームマシンになりかねないので、それだったらフリーメールの方が良いだろう。
・一応、どうしても自分のパソコンを持って行ってモバイル気分を満喫したい人向けに、接続手順を説明しておく。必要無い人は読み飛ばしていただきたい。
・必要な物:パソコン、モデム、ケーブル、モジュラージャックを日本タイプからロシアタイプに変換できるコネクタ、インターネットカード

●上記すべてがあちらで入手可能。インターネットカードは地下鉄駅周辺の音楽CDショップで売っている事が多い。例えば10時間ネットに接続できるカードとか。カードに書かれているアドレスにゲストとしてアクセス、HPの指示に従って、カードに書かれている暗証番号を打ち込むと登録完了。
・次からは自分で決めたログインネームと送られてきた暗証コードでネットに入ることが出来る。

●電化製品は品物は豊富だが、日本で買うのと大差ない価格設定なので、ウォークマン、CDプレイヤーなどコンパクトオーディオを使いたい場合は日本で買ったほうが良いだろう。電池は勿論現地で買える。
・MDの普及率は低い。
・CDソフト関係は店を選べば安いので洋楽・ロシアンポップマニアは帰りの荷物が増える覚悟をしたほうが良い。
・モスクワ滞在中、日本のCDを1枚だけ見かけた。テイ・トウワのアルバム。

●コンセントが必要な家電関係を買う人は少ないと思うが、電圧が違うので日本で使う場合、変圧器が必要。日本から電化製品を持って行ってロシアで使う場合も同様。

・ある留学生は日本から電子炊飯器を持っていったが、変圧器を忘れたため、半年ほど自炊不可だった。勿論、ロシアにも変圧器は売っているが、「それがどこの電気屋に売っているのか」という情報が入手出来なかったためだ。

●ロシアから帰国後の勉強のためにビデオカセットを買おうと思っている学生は、日本とは方式が違うので注意が必要。基本的にロシア製のビデオテープは日本のビデオでは再生できない。
・日本製マルチ対応のビデオデッキが必須。
・「それならロシアでビデオデッキも買う」というチャレンジは、お勧めしない。なぜなら日本から持っていったプレステをロシアのテレビに接続した学生が、白黒画面しか映らない現象に襲われたからだ。苦労してドラクエ7を解いていた奥田くん、元気ですか?
・当然、ロシア製ビデオデッキ+日本製テレビでも同じような現象が起こることが予想される。

 

●「まとめ:電気関係」

・フリーメールが吉。
・電化製品は日本で買っておく。コンセントものは変圧器必須。
・テイ・トウワのCDは持っていかなくて良い。
◎恋人を日本に残していく人は油断するな。マメな連絡必須。

 

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●日常生活に必要な物は大抵日本より安く買えるので、よほど急ぎで使うもの以外、現地で調達のほうがトランクが軽くなって良いだろう。ただ、滞在期間が短い上、意外と売っている場所を探すのに手間取ることがあるので手に入らないものは1ヶ月の我慢と割り切った方が賢い。

●あちらで友達になった人にプレゼントするのに、日本的なものも用意しておいた方が良い。安価でかさ張らない扇子・手ぬぐい程度で良いと思う。日本の化粧品店で配っている試供品を、ロシア人の女性にプレゼントしていた豪の者もいたが、案外珍しくていいかも。

●文房具関係(ノート、ペン類)は、どうも質の良いものが無かったのでこだわりのある人は持っていこう。勿論、大抵のものは現地で買える。

●アルコール類は充実している上に安いので、酒好きは自制心が必要。

●両替屋は地域によってレートのバラツキあり。赤の広場周辺の通りに何軒かある両替屋が意外と良いレートだったが、デパート内部の両替屋は総じて低レートなので、買い物するときは先に両替した方が良い。

●クレジットカードはマスター・ビザなら殆どのところで使える。他の主要なカードも大体は使用可。あちらでの生活費を持っていくのに全額現金で持っていくより、現金+カードなど、分けておいて保管しておけば万が一盗難に遭ったときに絶望することもないだろう。

 

 これらの情報が役に立つかどうかわかりませんが、気楽な気持ちで、でも注意は怠らずモスクワを楽しんできてください