平成12年度卒業見込
外国語学部 小平竜彦
1.公務員・教員試験合格者による講座運営
無料公務員講座を計画した時重要なことは、講師料をいかに低く抑えるかにある。現在いくらプロの公務員予備校講師に払っているか分からないが、学生を使うことでかなり低く抑えられる。具体的には、学生講師の自給を塾講師の自給と同等程度考えた場合、1500〜2000円である。1セメスターを基本と考え、1回3時間を週2回、合計90時間行い自給を2000円として180,000円で終わる。大学側で負担してもらうのが、私の理想だがそれが不可能であってもかなり受講料を低くできる。50人集まって、3600円、100人集まって1800円である。プリント代等は大学に負担してもらう。
1回3時間を週2回の根拠を示しておく必要がある。それは、東京アカデミーの「ターゲト札幌市・国家_種」の模倣にある。これは、半年で一通り終わらせる講座であるのでこれを選んだ。この講座のコマ数を挙げてみる。
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開講科目 回数 |
憲法 |
民法 |
行政法 |
経済学 |
政治学 |
行政学 |
財政学 |
合計 |
判断 |
数的 |
空間 |
日本史 |
世界史 |
地理 |
政治 |
経済 |
社会 |
思想 |
合計 | ||
夜+土11月生 |
15 |
28 |
15 |
28 |
10 |
10 |
6 |
112 |
15 |
15 |
4 |
5 |
5 |
4 |
5 |
5 |
2 |
2 |
62 |
コマ数に制限があるので、教養科目に絞ってみた。もうお気づきのことと思うが、教養科目に「自然科学系科目」が一切含まれていない。その理由は、「ターゲト札幌市・国家_種」という講座の性格にある。札幌市・国家_種試験は選択解答制を導入しているため自然科学を文系の学生は勉強する必要がないのである。
また、公務員試験の入門の入門と位置づけた場合、一般知能科目(判断、数的、空間)の計34コマを削り自然科学そして政治・経済の補強をしていくことが考えられる。変更後のコマ数を挙げてみる。
科目 |
数学 |
物理 |
化学 |
生物 |
地学 |
日本史 |
世界史 |
地理 |
政治 |
経済 |
社会 |
思想 |
合計 |
回数 |
6 |
6 |
6 |
6 |
6 |
5 |
5 |
4 |
7 |
7 |
2 |
2 |
62 |
※ 自然科学系科目が各6回となっているのは、LECの「自然科学30日完成」という参考書を根拠としている。
大体の要点には触れられているし、あとは問題集で訓練していくのが良いと思う。
学内の公務員講座では自然科学系科目をやっていないので、これでフォローできれば良いと思っている。札大生が公務員合格の中で、国家_種の占める割合が多いのは、選択解答制で自然科学を選択しなくてよいことが挙げられるかもしれない。だが地方公務員では、今のところ自然科学も解答しなければならないし、専門科目なしで受験できる若干の市役所を受験しようとする場合や道警、自然科学を勉強しないと、合格は難しいと思われる。その理由を以下に述べる。
1)道警の場合(H10年)
・一般知能が23問、一般知識が27問の合計50問
そのうち自然科学系科目は、8問である。一般知識における自然科学系科目の割合は約30%でる。教養試験全体では16%である。昨今の公務員受験の倍率を考えると合格ラインは65%〜70%といわれている。全て自然科学を捨てた場合84%のうちにこれだけの正解率を出さなければならない。つまり、人文系科目と社会系科目で、77%〜83%の正解率を必要とする。この正解率を高いと思うかどうかは、個人の判断にまかせる。
2)旭川市役所
・一般知能20問、一般知識20問の合計40問である。
同様に検討していくと、自然科学は6問出題される
全体における割合 → 15%
一般知識における割合 → 10%
市役所試験の場合は、倍率が高いとよく言われるので正解率は70%を超える必要がある。つまり、自然科学を捨てた場合最低82%の正解率が必要となるだろう。幅広い出題範囲から82%の正解率をだすのは大変難しいと思う。参考までに、自然科学を捨て、教養科目で80%の正解率を保とうとすると実に、14問中11問正解しなければならない。
なぜ一般に予備校の指導に反して、自然科学の重要性を協調するかというと、自分が友達に自然科学を教えてもらい、役立った経験があるからである。また、公式や数学ができれば、案外簡単に解ける問題もあるからである。
※ 合格ラインなどのパーセンテージは、主に実務教育出版「受験ジャーナル」を基本としているが各情報雑誌にばらつきがある場合は、最も高いパーセンテージを採用した。よって、実際はここに挙げている最低ラインより若干低くなる可能性もある。
2.合格者による講座運営の難しさ
・合格者のうち、文系大学の我が校において、自然科学を教えることができる人材がいるか否か。
・学生が講師で、生徒が集まるか否か。
・ 一般のサークルなどと違い、次の担い手を育てることができない。
・4年が教えることになり、現3年生が合格して始めて講師となるので、誰が次の講師をするか予想しがたい。
・3学年同士の受験研究会などは、中心人物に負担がかかりこの中心人物自体の合格が危ぶまれる。
_ その年の講師により、講座にレベルの差がある。
以上のようなことが考えられるだろう。
3.国立大生に知識レベルで近づく
一般に、国立大学生の方が「教養がある」といわれるが、私の経験上彼らが持っているのは「教養」というより「知識」であろう。たとえば、ミレー_ 自然主義 _「晩鐘」「落ち葉拾い」、ドビュッシー_ 印象派 _ 「海」、などといったもの、センター試験時に勉強した知識での差が大きいのではないかと分析している。実際に、絵を美術館や美術雑誌、音楽をキタラなどで見たり、聴いたりするのは我が大学生とそんなに変わらないだろう。教養をどう定義するかに問題は残るが、逆に札大生の方が「教養」はあるといえはしないだろうか?
さて、教養というのは一朝一夕にはつかないだろうが、「知識」なら、努力しだいでいくらでもつく。その知識も、「就職」という目的を持って増やしていこうとすれば効果的であろうし、1.で述べたことはその手助けとなり得るだろう。
三大話ではないが、メディアでは経済再建、介護保険、大学問題が取りざたされる。或る大学では、昨今の大学生の学力低下をなげき、放課後に教授が高校の復習を行っているという記事を読んだことがある。 1. で述べた公務員講座を「センター試験レベル」として、カリキュラムを組み替えて対象を1年生としても面白いと思う。
このような対策で、筆記試験に重点を置く就職試験に多くの札大生が合格できはしないだろうか。
4.最後に
学生でありながら、身分をわきまえない発言があったと思われますがご容赦いただきたいと思います。ただ、その影には「外国語を専攻しているやつは、語学しかできない」とか「やっぱり国立でなければ受からないのかな」といった言葉に対する反感でもあります。以前は国立びいきもあったかもしれませんが、昨今は露骨には表さないでしょう。それでも国立生が試験に強いのは、センター試験受験の貯金を食いつぶしているからだと思われます。その差を大学時代に埋めていくことが大切だと思っています。そして、「札幌大学は、このごろ元気がいいね」といわれることを望んでいます。
また、あまり「公務員、公務員」と連呼していると私は公務員こそ1番の仕事だと思っているんじゃないかと、誤解を与えるのではないかと心配しています。やりがいのある仕事というのは個人によって違うのは良く分かっていますし、大企業に入ることが何よりとも思っていません。しかし、ある程度の学力がないと教員や、公務員になれないということで、外部からみた大学評価の一つの目安となっていることも事実でしょう。現に、「公務員になりたいんだったら北海学園法学部にしなさい」と高校時代指導されました。しかし、北海道職員として国際舞台で活躍するのであれば「ロシア語が必要、札幌大学ロシア語学科にします」と指導を跳ね返しました。この判断が今、吉となりそうです。地方公共団体職員として国際舞台で活躍するなら「札幌大学へ」といわれるくらいになったらいいと思います。