<!--This file created 98.12.16 15:21 by Claris Home Page version 2.0J--><HTML><HEAD>   <TITLE>morita-j-22</TITLE>   <META NAME=GENERATOR CONTENT="Claris Home Page 2.0J">   <META HTTP-EQUIV="Content-Type" CONTENT="text/html;CHARSET=x-sjis">   <X-SAS-WINDOW TOP=42 BOTTOM=757 LEFT=4 RIGHT=534></HEAD><BODY BGCOLOR="#FFFFFF"><P><CENTER><FONT SIZE="+2" COLOR="#AF0000">愛という憎悪</FONT></CENTER></P><P><CENTER><FONT SIZE="+1" COLOR="#0000AF">〜渡辺淳一文学館〜</FONT></CENTER></P><P ALIGN=RIGHT>2年　森田真衣</P><P>　「死に顔の最も美しい死に方は何であろうか。」という印象的な一文で始まる小説『阿寒に果つ』は、野口英世の生涯を描いた『遠き落日』や、昨年大ブームを巻き起こした『失楽園』などの著作で知られる、北海道出身のベストセラー作家・渡辺淳一の作品である。これは、彼の自伝的青春小説で、ヒロインの時任純子は、四十五余年前の札幌に実在し、幾多のゴシップを提供した挙げ句、題名そのままに阿寒で自殺した天才少女画家・加清純子がモデルであり、彼女は作者の初恋の人でもあった。</P><P>　物語は、主人公である作者が、彼女と関わりを持った男たちにインタビューする形式をとり、その中には、「ベトナム・カメラマン」として世界に名を馳せた岡村昭彦らも登場する。彼女を自分の恋人としての側面からしか見ていなかった作者は、インタビューが進むにつれて、自分の惹かれた彼女のエキセントリックな立ち居振る舞いが演技であったことに気づく。そして最終章で彼女の姉にインタビューすることによって、男たちの知らなかった加清純子の本当の姿が明かされるのだ。</P><P>　二年前、受験勉強の最中にこの小説を読み、エゴイスティックでナルシスティックな面を持っていながら、尋常ではない程の脆さ、弱さを内に秘めた加清純子のキャラクターに惹かれた私は、小説の中に描かれた彼女の像を写しとるべく、雪の降り積もる札幌の街を、赤いコートを着て歩いてみたいと思っていた。</P><P>　渡辺淳一の作品連に一貫して描かれるテーマは、女性に対する畏怖の念と、愛の果てに辿り着く死の幻想であり、それらは『失楽園』という作品の中で最も顕著に表されたと言えるだろう。作品中で、主人公がある事件について語る場面がある。昭和十一年五月、ある家に仕えていた女中・阿部定は、その家の主人・石田吉蔵を愛するあまり、彼の首を絞め、「彼の局部を刃物で切り取って殺害し、その鮮血でもって『定吉２人キリ』という文字を残して失踪、心中を図った。この事件をもとに、渡辺淳一は、「現代において成熟した男女の心中はありうるか、を描きたかった」と語っている。</P><P>　このような、深まりすぎた性愛故の憎悪が、やがて死を導くまでの彼独特の図式が、彼の最初の恋人であった加清純子が突然の死を遂げたという劇的な体験に基づいていることは確かである。</P><P>　今年六月にオープンした渡辺淳一文学館には、加清純子の描いた自画像や彼に宛てたラブレターなど、彼女にまつわる思い出の品々が展示されている。この文学館は、建築家・安藤忠雄の設計で、コンサートホールKitaraの向かい側に建てられ、渡辺淳一の幼少時代から現在に至るまで、年譜や写真、彼の著作に関する資料や愛用品などを展示している。また、それらとは別に、特別展示室として『失楽園』のコーナーが設けられ、映画の撮影に使われた衣装や、（テレビドラマ版でヒロインを演じた）川島なお美の髪の毛で作られた筆などの珍品も展示されていて、彼の作品を読んでいない人でも充分に楽しむことが出来る。しかし、彼の作品のファンは、それ以上に、彼のルーツを探る絶好の機会を得たといえよう。</P><P>　彼は、作家であると同時に、医師として働いてもいたのだが、それについて彼はこう語っている。「チェーホフは、『医業は本妻、小説は愛人』と言ったが、私は次第に小説が愛しくなり、気がつくと愛人の方へ走っていた。これからは老いてゆく一方だが、出来得れば、いつまでも形の定まらぬ不良老年でありたい。老いもプラスに転化できるとは、作家とは何と幸せな職業なのだろう。」</P><P>　</P><P>＊この文学館では、講義室（八十二名収容）の貸出も行っている。一日（九時半〜十八時まで）七万円から。詳細は、渡辺淳一文学館：０１１（５５１）１２８２まで。</P><P><CENTER><HR><B><FONT SIZE="+1">Russian</FONT></B></CENTER></P><P><CENTER><B><FONTSIZE="+1"><A HREF="../22english/22topics.html">Topics</A></FONT></B></CENTER></P><P><CENTER><B><FONTSIZE="+1"><A HREF="../index.html">Index</A></FONT></B></CENTER></P><P><CENTER>　</CENTER></P><P>　</P></BODY></HTML>