<!--This file created 98.12.16 15:13 by Claris Home Page version 2.0J--><HTML><HEAD>   <TITLE>nakagawa-j-22</TITLE>   <META NAME=GENERATOR CONTENT="Claris Home Page 2.0J">   <META HTTP-EQUIV="Content-Type" CONTENT="text/html;CHARSET=x-sjis">   <X-SAS-WINDOW TOP=42 BOTTOM=757 LEFT=4 RIGHT=534></HEAD><BODY BGCOLOR="#FFFFFF"><P><CENTER><FONT SIZE="+2"COLOR="#AF0000">プライベート・ライアン</FONT></CENTER></P><P ALIGN=RIGHT>1年　中川明子</P><P>　ほんの半世紀前、世界中の多くの若者が戦争にかり出されて、たくさんの血を流し、命を落とした。今回、『プライベート・ライアン』を監督したスティーブン・スピルバーグは、そんな戦争の最前線で戦う若い兵士達の視点で戦争をとらえ、戦争の醜さ、残酷さ、非条理さ、そして、命の尊さを戦争を知らない私達の前に投げかけてきた。</P><P>　ノルマンディー上陸作戦は成功に終わった侵攻として認められている。しかし、オマハ・ビーチでの侵攻と上陸は完全なる失敗の作戦だった。映画は、ニューヨーク・ポストが、”その映像は非情なまで美しく、残酷なまでに真実”と表現したこのオマハ・ビーチでの衝撃的シーンから始まる。</P><P>　アメリカ兵が上陸艇から降りたとたんにドイツ軍の機関銃が撃ち込まれる。うなりをあげて飛んでくる銃弾から逃げることはできない。海に飛び込んでも海中にまで銃弾が撃ち込まれる。海はたちまち血の色で真っ赤に染まる。浜辺では自分の片腕を探してふらふら歩き回るもの、はみ出した内蔵を手に絶望的な表情を浮かべる者、「ママ、ママ」と叫ぶ者。そのすさまじい戦場の中、兵士達の生死を分けたものは、まさに「運」だけであった。</P><P>　米軍だけで死傷者を２５００人だしたオマハ・ビーチの戦闘の模様を、スピルバーグはハンディーカメラを大いに利用した。カメラは兵士達に可能な限り近づき、兵士達の目となり、地を這い、海に沈み、浜を駆ける。時にはカメラに兵士達の飛び散った血がこびりつく。このハンディーカメラがこれがまでの戦争映画でが見られなかったすさまじい戦場の恐怖を容赦なく描くため、観客は思わず、画面から目をそらしたくなる。</P><P>　この激戦を生き抜いたジョン・ミラー大尉（トム・ハンクス）のもとに軍上層部から、ある特別な任務が命じられた。それは、「戦争で３人の兄を失ってしまった、ジェームズ・ライアン２等兵を救出せよ。」というものだった。そして、ミラー以下８人の分隊が結成された。</P><P>　ライアン４兄弟のうち３人を戦死させてしまった国が下した決断には、８人の命が賭けられた。８人は”任務”という名の下に、適地の中、兄弟の末っ子であるジェームズ・ライアンを探す旅に出る。しかし、そんな任務のどこに大義があるのだろう。</P><P>　確かに、この任務には戦争に巻き込んでしまった、国からの家族に対する思いやりがある。息子たちを全員戦死させられては、大統領がどんなことをしても彼らは癒されることはないだろう。しかし、８人にとってはライアンなんて聞いたこともない兵士である。国が、戦場に出ている兵士たち一人一人を大事にしているのなら、納得できるが、この戦争で特に若い兵士たちは、消耗品扱いなのだ。そんな一人の消耗品に、また別の８人の消耗品が命をかけるのだ。８人はこの任務のことを「とんでもなく災難みたいな任務」、こう呼んだ。しかし、考えてみると、戦場で納得のいく任務なんてあるだろうか。</P><P>　結果、この任務で８人のうち６人の命が犠牲になった。ミラーは最後、「無駄にするな、しっかり生きろ」という言葉をライアンに託して死んでいく。彼は、どんな時でも戦争が終わった平和な未来を信じていたのだろう。そして、自分たちの死に見合う人生を彼に望んだのだ。彼の持っている未来を信じ、平和を信じたミラーは立派に任務を果たし、誇りを持つことができただろう。彼らの死が今日まで続く平和の始まりなのだ。</P><P>　映画のエンディングを飾るのは、逆光に旗めく星条旗のショットである。それは一見、栄光の象徴のように見えるが、セピアトーンに染まった国旗には、血と泥のイメージが感じられる。星条旗が表す自由と独立。それを求める戦いが決してきれいごとではなかったこと、そして払われた犠牲を決して無駄にしてはいけないことを、スピルバーグは最後のワンショットで訴えかけているのだ。</P><P>　世界には今もなお、戦争の後遺症で苦しみ、心の傷を癒せずにいる人が大勢いる。我々はそれを癒してあげることはできないだろう。非人間的な戦場の中、彼らはただひたすら平和を願い、我々が生き残るために戦ったのだ。生き残った我々は、これからも平和が続くように願わずにはいられない。そして、もう２度と同じ過ちをくり返さないことが我々の責任であり、戦場にでた兵士達への償いなのだ。</P><P><CENTER><HR><B><FONTSIZE="+1"><A HREF="../22english/nakagawa-e-22.html">English</A></FONT></B></CENTER></P><P><CENTER><B><FONTSIZE="+1"><A HREF="../22english/22topics.html">Topics</A></FONT></B></CENTER></P><P><CENTER><B><FONTSIZE="+1"><A HREF="../index.html">Index</A></FONT></B></CENTER></P><P>　</P></BODY></HTML>