変わりつつある労働意識

1年 奥原泉

大学を卒業したら就職する、というのは日本では当たり前のことである。しかし、最近定職を持たずにアルバイトする「フリーター」が増えている。確かに正社員よりアルバイトの方が低賃金で雇うことが出来るが、本人の労働条件は正社員よりはるかに悪い。それなのに、彼らはどういう理由でフリーターになるのか。その背景には、就職が少ないことに加えて、若者の考え方の変化があるのではないだろうか。

フリーターと言っても何種類かに分けられる。フリーターの増加の大きな理由として不況による失業者の増加や就職難が第一である。彼らは正社員を常に目標にしているから、本来的にフリーターをするという範疇には入らない。一方目標を持ってフリーターになる人もいる。例えば、職人を目指して修行を兼ねて、アルバイトをし、技術を身につける人がいる。そして、歌手や俳優を目指して、アルバイトをする人もいる。このように、将来のことを考えている人もいる。

第二のグループとして、中には自らきちんとした職に就く事を拒否する者もいる。彼らは正社員として働くことに必要性を感じず、安易な考えで現在を過ごしている。その他に、自由を求めてフリーターになる人も多い。彼らは確かに楽しく自由な生活をしているようであるが、果たして彼らが将来のことをきちんと考えているのだろうか。考えてみると、今彼らが安心して生活できるのは、事実上、親が生活費を負担するいわゆる「パラサイト」になっているからである。彼らはアルバイトだけで生活しているようであるが、それは親がいるからであり、実際彼らが親になった時に子供を養うことはできないだろう。このように、フリーターは良いイメージがない。若者にはその点を良く考えてもらいたいし、親の世代にはフリーターに偏見を抱かないようにしてもらいたい。この先、我々はフリーターという言葉をなくす必要がある。それは彼らに働きやすい就職口を与えるという意味でもあり、また、何らかの新しい職業を作り出すという意味でもあるのだ。もしそれをしなければ、アルバイトをして生活する若者が、世間に認められる日は来ないだろう。

かつて、日本は経済的に貧しかったが、豊かになってきたことで、苦労を知らない若者が増えている。それは、親の世代との労働に対する意識が変わってきたことを意味する。それに、何も考えていない若者が増えたのは事実である。それが、いわゆるフリーターの増加につながっているのであろう。しかし自分を生かすことの出来る仕事を探すのは重要なことであり、それを否定することはできない。若者と親の世代両方の努力でフリーターをなくしていく必要がある。

これから先、フリーターという言葉を安易に用いて、あたかもフリーターという職業があるかのような錯覚を与えるのは、果たして良いことだろうか。現在フリーターとして働いている日本の次の世代を担う人達が、楽しく働ける労働環境があることが望ましい。それは今までの労働意識を大幅に変えることになるかもしれないが、IT社会で在宅社員もいる時代なのである。現在のフリーターという言葉でくくらない多様な職業形態が、今後出てくるであろう。今はその前ぶれの時代であると言える。

 
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