<!--This file created 02.4.28 3:49 PM by Claris Home Page version 2.0J--><HTML><HEAD>   <TITLE>kamio32j</TITLE>   <META NAME=GENERATOR CONTENT="Claris Home Page 2.0J">   <META HTTP-EQUIV="Content-Type" CONTENT="text/html;CHARSET=x-sjis">   <X-SAS-WINDOW TOP=39 BOTTOM=754 LEFT=5 RIGHT=535></HEAD><BODY BGCOLOR="#FFFFFF"><P><CENTER><B><FONT SIZE="+1"COLOR="#00AF00">『声に出して読みたい日本語』</FONT></B></CENTER></P><P><CENTER><B><FONT SIZE="+1"COLOR="#00AF00">―私が出会った日本語の宝石─</FONT></B></CENTER></P><P ALIGN=RIGHT>1年　神尾　美奈子</P><P>『声に出して読みたい日本語』は、暗誦・朗誦をするためにつくられたテキストであり、2001年の秋に出版されベストセラーとなった。この本には、日本における、古くからの名文や詩、古典や落語などが集められている。この本の著者である斉藤孝氏はこれまで『子どもたちはなぜキレるのか』、『身体感覚を取り戻す』など、その他多くの本を手がけており、子どもたちに個人的な塾を開くなどインターネット上でも教育的な活動を行っている。（ホームページアドレスhttp://www.kisc.meiji.ac.jp/~saito/）</P><P>この本の中で取り上げられているのは、『おくのほそ道（松尾芭蕉）』、『平家物語』、『枕草子（清少納言）』などを含む76作品の冒頭部分で、仏教経典や落語、漢詩や早口言葉など多岐にわたっている。私たちは中・高校の教科書を通して、それらの古典の名作に出会ってきた。だが、はたして私たちの世代の中で、それを暗誦できる人はどのくらいいるだろうか。現在の世代の若者たちは、暗誦を苦手とする。著者である斎藤氏は、現在の日本では、好きな詩や文で、暗誦できるものを持っている人が少なくなっており、「暗誦文化」は絶滅の危機に瀕していると述べている。</P><P>その理由として、現在の日本の教育制度では、国語の授業の中で暗誦や朗誦よりも解釈に時間を割くことが多いということがあげられる。一方で、70，80代の人々は暗誦文化の盛んな時代に生きていたので、いくつもの名文を暗誦することができる。私の祖父もちょうどこの世代に当たり、今でも若い頃に覚えたものを口にすることがある。祖父がよく私に聞かせてくれた『偶成(朱熹)』という漢文もこの本に収録されていた。小さい頃は、意味が分らずに聞いていたのだが、そのテンポの良さとリズム感がとても心地のよいものであったことを覚えている。</P><P>また斎藤氏は、小・中学校で扱われる国語の教科書から難しいものが省かれ、古典の名作に触れる機会が減ってしまうことにも強く批判的である。できるだけ早い時期から質の高いものに触れ、暗誦することをすすめている。子どもの母国語の能力を磨くことにもつながるからである。そのためにも本書は、子どもでも声に出して読めるようにと、漢字は旧字体から新字体に改められ、総ルビになっている。15~20行あまりを抜き出し、内容解説を加えてあるところも特徴の一つである。</P><P>「文章の意味はすぐにわからなくてもいい。長い人生のプロセスの中で、ふと意味のわかる瞬間が訪れればいい。こうしたゆったりとした構えが、文化としての日本語を豊かにする。」というのが斎藤氏の主張である。さらにこうも言っている。英語のコミュニケーション能力や情報ツールの使用能力の重要性が強く求められている時代であるからこそ、土台となる母国語を磨くことが必要になってくる。思考の基礎となるのは母国語なのである。つまり、母国語で明晰な思考が出来なければ、外国語でもそれは無理だ、というのだ。暗誦文化はこういった、母国語を鍛えるという面でも深く関係しているのである。</P><P>この本の魅力は、今までにない「暗誦のための本」という形で出てきたということもあるが、何よりも一番の魅力は、採録された各文の奥深さや、リズム感の良さを読者一人ひとりが味わえるということである。これは、作者と読者の間の、時代を超えたコミュニケーションだといえる。また、暗誦文化に触れることは現在の70代、80代の人々との交流をより深めるきっかけにもなるであろう。</P><P>この本に出会ったことで、日本語の良いところと、暗誦文化の素晴らしさを改めて実感することができた。詩や俳句を生み出してきた日本語には、他の言語にはない独特のリズム感があると思う。もっと多くの人にこのリズム感を味わってほしい。そして、この本が出たことをきっかけとして、重要な生涯教育となりうる暗誦文化が少しずつでも息を吹き返してゆくことを私も願っている。</P><P>以下の斎藤氏の言葉で、本稿を締めくくりたいと思う。「ここにとりあげたものは、日本語の宝石です。暗誦・朗誦することによって、こうした日本語の宝石を身体の奥深くに埋め込み、生涯にわたって折りに触れてその輝きを味わう。こうした『宝石を身体に埋める』イメージで楽しんでください」</P><P><CENTER>　<HR><A HREF="../32english/32topics.html">Topics</A><BR><A HREF="../index.html">Index</A></CENTER></P><P><CENTER>　</CENTER></P></BODY></HTML>