<!--This file created 02.4.28 3:48 PM by Claris Home Page version 2.0J--><HTML><HEAD>   <TITLE>tanaka32j</TITLE>   <META NAME=GENERATOR CONTENT="Claris Home Page 2.0J">   <META HTTP-EQUIV="Content-Type" CONTENT="text/html;CHARSET=x-sjis">   <X-SAS-WINDOW TOP=43 BOTTOM=758 LEFT=4 RIGHT=534></HEAD><BODY BGCOLOR="#FFFFFF"><P><CENTER><B><FONT SIZE="+1"COLOR="#D6D600">『息子の部屋』</FONT></B></CENTER></P><P ALIGN=RIGHT>2年　田中　瞳</P><P>　イタリア映画の『息子の部屋』は2001年カンヌ映画祭で最優秀作品賞『パルムドール賞』を受賞した。監督のナンニ・モレッティは映画の中で主人公である、父であり精神分析医のジョバンニを演じている。彼は94年に、自らの闘病生活をもとにした『親愛なる日記』でカンヌ映画祭最優秀監督賞も受賞したことがある。</P><P>　この作品の内容は、イタリアの小さな港町で暮らす、父、母、娘と息子の4人家族の生活を描いたものである。彼らは平穏で幸せな日々を送っていたが、突然長男のアンドレアを事故で失う。そのため、母パオラと父ジョバンニは感情のささいな行き違いを修復できず、同じ部屋で眠ることを拒む。長女イレーネは両親を支えなければという重荷を背負って悩み、両親公認だった恋人と別れてしまう。しかし、残された3人は、それぞれの心の壁を乗り越え、また幸せな生活を取り戻していくというものだ。</P><P>　また、ナンニ・モレッティは凝った映像を好まないため、この映画にも特殊効果などは使わずにストーリーに最適な画面を作り上げている。それはまさに「ナンニ・モレッティの世界」といえるものである。そのためにこの映画からは、家族の温かさや息子を失う辛さなどがよりいっそう伝わってくるのだ。</P><P>　この作品で最も重要なのは、父親ジョバンニの職業が精神分析医だという設定にあるだろう。息子のアンドレアが事故のあった日、ジョバンニは彼とジョギングに行く約束をしていた。しかし、ジョバンニは患者から連絡をうけ、往診にむかった。そのため、アンドレアは友だちとダイビングにでかけ、そこで命をおとす。ジョバンニは自分が往診に行ったことで息子の事故は起こったと思うようになり、自分を責め続ける。また、アンドレアが死んだ日に往診に行った患者と会うたびに、息子の死を思い出し、その患者に怒りさえ覚えるようになるのだ。ジョバンニは、そんな自分の心境を別の精神分析医に話しに行ったが、結局精神分析医をやめてしまうことになる。精神分析医は常に冷静に患者の話をきいていなければならない職業だろうが、アンドレアを失ってからのジョバンニは患者の話を聞きながら泣いてしまい、患者に慰められるようにまでなる。このように精神分析医だった人物が、今まで自分の診察をしていた患者と同じように悩みをもった存在になっていく過程が、息子をなくした父の悲しさ、辛さをうまく表現し、私達を映画の中へ引き込んでいくのだ。</P><P>　アンドレアの死後、彼にガールフレンドがいることがわかり、家族は彼女に会うことになるというシーンから、話は転回する。彼女は写真をもってくる。その写真はアンドレアの部屋で写したもので、そこには家族が今まで見たことのなかった笑顔の彼がいたのだ。この写真をみた父ジョバンニは、息子は自分たちの知らない内に大人になっていたのだということに気付く。映画の中では、はっきりと描かれていないが、アンドレアが、もう一人前の大人になっていたということにジョバンニが気付いたことで、息子が死んだ悲しみから抜け出す糸口を見つけた、ということを暗示しているのである。</P><P>　この作品の監督であり、主演のナンニ・モレッティは「部屋というのは一人になれる場所で、そこではそれぞれが自分自身をみつめ、自分について明らかになるものに気付き、そしてそれを隠しておけるところなのです」と語っている。彼は、大人になろうとするがなりきれない、青春期のアンドレアを、この考えに基づき表現したのしたのだろう。そして、この映画の題名が『息子の部屋』と付けられたのではないだろうか。</P><P>　この映画は、アンドレアのガールフレンドをヒッチハイクできる場所まで送り、みんなで海を眺めているシーンで終わる。観客は「もうこれで終わり？」と思ってしまうかもしれないが、その中には家族の温かさ、家族を失う悲しさがリアルに描かれている。ハリウッド映画になれている者にとっては何か物足りなさを感じるかもしれない。しかし、イタリア映画には独特の雰囲気があり、それが人々を魅了するのだろう。この映画をきっかけに、イタリア映画ファンが増えていって欲しいものだ。</P><P><CENTER>　<HR><A HREF="../32english/32topics.html">Topics</A><BR><A HREF="../index.html">Index</A></CENTER></P><P><CENTER>　</CENTER></P></BODY></HTML>