<!--This file created 04.2.1 6:14 PM by Claris Home Page version 2.0J--><HTML><HEAD>   <TITLE>suehiro37j</TITLE>   <META NAME=GENERATOR CONTENT="Claris Home Page 2.0J">   <META HTTP-EQUIV="Content-Type" CONTENT="text/html;CHARSET=x-sjis">   <X-SAS-WINDOW TOP=43 BOTTOM=758 LEFT=4 RIGHT=534></HEAD><BODY BGCOLOR="#FFFFFF"><P><CENTER><B><FONT SIZE="+2">「異国の丘」とシベリア抑留者</FONT></B></CENTER></P><P ALIGN=RIGHT><FONT SIZE="+1">2年　末広　恵</FONT></P><P>　今年8月から10月まで、東京で劇団四季の「異国の丘」の公演が行われた。舞台は第二次世界大戦中の東京、ニューヨーク、中国、シベリアであり、厳しい戦時下に散った若い男女の物語である。アメリカでの留学生活を楽しんでいた日本の首相の息子の九重秀隆は、中国の高官令嬢、愛玲と恋に落ちる。二人はそれぞれの母国へ戻った後、両国の和平実現のために協力し合うが、愛玲は友人の裏切りによって命を落とす。その後秀隆は兵士として満州へ向かい、1945年の敗戦直前に侵攻してきたソ連軍に捕らえられてシベリアに抑留されてしまう。そして1956年、10年近くにわたる抑留中に彼はシベリアの地で死んでしまう。その日は、彼の帰国が決定した日であった。</P><P>　この物語は事実を元にしたフィクションで、主人公の九重秀隆もかつての日本の首相近衛文麿の息子、近衛文隆をモデルにしている。ストーリーは極寒のシベリアの収容所での回想シーンから、華やかなニューヨーク、そして日本、中国へとめまぐるしく変わり、それが一層九重秀隆の人生の波乱さを感じさせた。そういった若者の青春の描写とともに、歴史の流れを解説しながら日本軍部の無責任な体制をも描き出している。</P><P>　1945年、ソ連は日本の敗戦直前に満州、朝鮮、南樺太などへの侵攻し、60万人近い捕虜をシベリア各地の収容所に送った。他にドイツ人や少数のフィンランド、ルーマニア、イタリア、スペインの兵士が捕虜となった。背景には、日本のシベリア出兵という歴史があった。1918年、連合国軍はソ連政権の打倒を決意し、日本も7万３千人という連合国軍の中でも最も多い大軍をもってこれに積極的に参加した。犠牲となったソ連は日本に対するそういった苦い経験を忘れるわけにはいかなかった。捕虜はソ連復興のために強制労働させられ、厳しい共産主義教育を受けた。日本人にとってシベリアの冬は大変厳しいものだった。食糧不足、ひどい衛生状態や極寒の中での過重労働により、病気になったり、死亡する者が続出した。日本人の帰還は1947年から1956年まで行われ、約50万人が帰国した。残りの10万人は死亡者か行方不明者である。帰国した人々の中には熱狂的な共産主義者になっている者もいた。</P><P>　この舞台を見て私たちは、戦争によって一番傷つけられるのは国の中心にいる人々ではなく、何の罪もない一般の人々であるということに改めて気づかされる。収容所の捕虜たちは戦前、日本で家族や友人に囲まれて平和に暮らす平凡な市民であった。それが日本軍部やソ連政府の暴走の果てにシベリアで厳しい飢えと寒さに苦しまなければならなかったのだ。なぜ他国を支配しなければならないのか。過去の戦争に何の意味があったのか。そういうことを考えさせられた舞台だった。</P><P>　それと同時に日本の支配よって傷つけられた人々もいたということを私たちは決して忘れてはならない。これ以上戦争による苦しみを生み出さないためにも、日本はロシアや中国、朝鮮など近隣の国々との友好関係を発展させなければならない。</P><P>　このようなテーマが芝居で取り扱われたことは、非常に意義のあることである。観客はこの舞台を見て歴史を学ぶからだ。残念ながら日本ではこのような歴史教育が十分になされていないので、公演はもう終わってしまったが、機会があればこの舞台を一度観てほしい。現在の平和が、過去のものとなってしまったたくさんの苦しみを通過して成り立っているということを理解してもらえるだろう。</P><P><CENTER><HR><A HREF="../37english/topics37.html">Topics</A><BR><A HREF="../index.html">Index</A><BR>　</CENTER></P><P>　　　</P></BODY></HTML>