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<P><CENTER><B><FONT SIZE="+2">ロシアの歌謡曲と日本人</FONT></B>
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<P ALIGN=RIGHT><FONT SIZE="+1">１年　中島　敏貴</FONT></P>

<P>もう50年以上も前のことなので人々の記憶から去っていきつつあることなのだが、
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<P>日本には「うたごえ運動」が一世を風靡した時代があった。1950年代や60年代に青春を謳歌していた世代の人々ならば、その時期の思い出が、多かれ少なかれ心のどこかで生き残っているはずである。学生運動や労働運動など平和で明るい将来を求める日本でのこうした運動の中で、人々の連帯感を高揚させる大きな働きをもっていたのがこの「うたごえ運動」なのである。当時、学生や働く若い男女の間では、キャンパスやサークル、喫茶店などで、日本民謡や外国民謡、新しく作られた歌などが歌われ、大変な盛り上がりを見せていた。その中でもとりわけ絶大な人気を博していたのがロシアの歌謡曲や民謡である。その日本人の心情に合う深い叙情性がメロディーの中に存在していた、というのも理由の一つであろう。
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<P>『黒い瞳』や『行商人』、『青いプラトーク』など、ロシアで好まれた愛唱歌は次々と日本へ入ってきて、その度に人々に親しまれてきたわけだが、それらの歌謡曲や民謡を深く掘り下げて考えてみるのも面白いものである。
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<P>その中でも、トロイカをテーマにした歌はとりわけ興味深いところがある。
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<P>トロイカとはロシア特有の3頭立ての馬そりのことで、専らとは言えないものの、その御者の悲惨な運命を物語る歌が実に多いのである。「郵便馬車の馭者だった頃」という歌の内容は、御者の男がある吹雪の夜に郵便物を運んでいる道端で、雪に埋もれ肌の冷たくなった恋人の死体を発見する、という悲しい恋の物語であるし、日本でよく「トロイカ」と呼ばれ、一般に私たちの多くが明るく歌う「郵便トロイカは走る」のロシアの原詞での内容は、御者の恋人がクリスマス近くに金持ちの村長に奪われ、嫁いでいくという、実はこれもまた悲しい恋の物語なのである。
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<P>　このように、人生で起こりえる絶望が生々しくありのままに描かれたような歌の他、感傷的で繊細な恋愛歌が多く存在するのもロシア特有のものであるし、美しい自然を尊ぶ歌や、世代間を通して受け継がれる習慣を表現する歌、戦争によってもたらされる不幸を語る歌など、ロシアには日本人に通じる感慨深い歌謡曲や民謡が実に多く存在するのである。
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<P>　確かに日本の「うたごえ運動」の時代はもう昔のことであり、若い世代を中心にこうした歌謡曲や民謡を歌う機会が少なくなってきているのが現状である。しかし、これらの歌に代表される素晴らしいロシア文化を今一度振り返ることで、良かれ悪かれ私たちが見ている“ロシア”の違った一面も見えてくるであろうし、精神的な豊かさや余裕を失いつつある私たち現代人が、このような情感の溢れる歌から学ぶべきことも多いはずである。
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