<!--This file created 08.7.26 1:04 PM by Claris Home Page version 2.0J--><HTML><HEAD>   <TITLE>iwata51j</TITLE>   <META NAME=GENERATOR CONTENT="Claris Home Page 2.0J">   <META HTTP-EQUIV="Content-Type" CONTENT="text/html;CHARSET=x-sjis">   <X-SAS-WINDOW TOP=43 BOTTOM=758 LEFT=4 RIGHT=534></HEAD><BODY BGCOLOR="#FFFFFF"><P><CENTER><B><FONT SIZE="+2">オリンピックと平和</FONT></B></CENTER></P><P ALIGN=RIGHT><FONT SIZE="+1">1年 岩田　絢子</FONT></P><P>　</P><P>第29回夏季オリンピックが、8月8日、いよいよ北京で開催される。大地震の被害のために、中国国内でも祝賀ムードは自粛されているが、復興の希望となるためにもオリンピックを成功させようという思いは強い。隣国で開催されるオリンピックに際して、今、私たちはどのような姿勢で臨むべきだろうか。</P><P>近代オリンピックの父と称される、ピエール・ド・クーベルタン男爵は、「参加することに意義がある」という言葉を残した。これは、競技者だけでなく、オリンピックにかかわるすべての人に向けられた言葉であり、彼は、おおよそ世界で初めての国際競技会を提唱するにあたって、「参加までの過程で人と付き合うこと」を重視していたのである。それは、異なる人間同士の相互理解を目指すという意味で、世界平和への願いともいえる。</P><P>彼の意向を汲んだ、近代オリンピックの理念・原則が成文化されている“オリンピック憲章”には、オリンピックの精神的な目標について「人間の尊厳保持に重きを置く、平和な社会を推進することにある」と書かれている。しかし、個人としての人間を重視するような国際的態度を求める根本原理に反して、世界中の国が参加する近代オリンピックは常にその時々の世界情勢に左右されてきた。</P><P>今年、オリンピックの始まりを告げる聖火リレーは、異様な雰囲気をもって世界を回ってきた。3月のチベット暴動に対する中国政府の対応について抗議する人々が、リレーに乱入し、進行を妨害する事態が続き、聖火は常にない厳戒態勢で警備されることとなった。長野ではリレーの沿道でチベット独立を求めるグループと、中国を支持・支援しようとするグループとが争い、逮捕者も出るなど混乱を極めた。残念なことに、一般の人々は松明を掲げて走るランナーの姿を見ることができなかった。</P><P>世界規模の祭典である以上、そこに政治的思惑や国家間の主張の対立が生じるのは避けられない。身近な例から言っても、オリンピックは国家としての意識を高揚させる。普段スポーツを見ない人でも、オリンピックでは、自国の選手を応援することがあるだろう。それは自然な感情だが、私たちはそれによって自分の所属を意識することとなる。その所属意識は愛国心と言い換えることができるかもしれない。その感情はつまるところ国家への執着である。</P><P>オリンピックの理想は個人同士の理解を深めることにあったはずであるのに、国家やその他の枠組みのために、逆に、理解の可能性を持った個人同士が盲目的に対立することになるのではやりきれない。私たちがそれぞれにわかりあい、友好を築いていくのは難しい。しかしスポーツにおいてならばどうだろう。スポーツには世界に共通する感情がある。ならば、オリンピックという国際交流の中で、尊重されるべきなのは、スポーツに真摯に臨む選手各々の個人の力ではないだろうか。</P><P>純粋なスポーツとは、国や記録のためでなく、個人の力が最大限発揮されるそのことである。選手は否応なく国の代表として選抜され、望む、望まないにかかわらずいくらかの政治的立場を負わされることとなるが、それだけではない。彼らには彼ら個人の存在意義がある。世界の頂点で競われるスポーツは人々に等しく賞賛と敬意の念を呼び起こし、さらにはこれが人間賛歌へとつながるのだ。</P><P>そこにこそ、古代ギリシャから続くオリンピックに期待される平和への鍵があるのではないか。私たちにすべての選手への確かな敬意があれば、おのずとオリンピックは厳粛なものになるだろう。この2008年北京オリンピックでは、平和とは私たち個人の意思がもたらすのであるということを確認したいものである。ピエール・ド・クーベルタン男爵はこうも言っている。「スポーツ、それは平和である」と。</P><P>　<HR></P><P><CENTER><A HREF="../51english/topic51">Topics<BR></A><A HREF="../index.html">Index</A></CENTER></P></BODY></HTML>