札幌大学国際文化フォーラム
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通訳者に求められる要素は、今までの話でいろいろ言いましたので、
大体おわかりになると思いますけれども、大前提が英語力。
日英の場合、英語力はもちろん必要なのですけれど
英語力だけではだめだと、日本語力がないといけないのです。
私も実は今は、このカジュアル日本語モードでお話をしていますけれども、
きちんと人前に出て、人の言葉を訳すときはもうちょっと違うモードがあって、
通訳モードで話せるのです、実は。

それから、パブリックスピーキング力というのは、人前できちんと話すことができる能力。
まず声がはっきりと聞こえるように話せるですとか、
人前で上がらない、直前まで幾ら上がっても、
ストレスがエネルギーになるというので、それはいいと思うのです。
幾ら英語ができても、幾ら訳せても、マイクをつかっても、
ぼそぼそぼそとしかできないのだったらいけないと思います。

私も初めのころ、よく通訳講座でも先生に指摘されたのは、語尾が消えるというのです。
どういうときに語尾が消えるかというと、自信がないときに語尾が消えていくのです。
通訳をしないまでも、いい英語でのコミュニケーターになるためには、
自分の話した英語を録音して聞いてみると、皆さんもそうされてみるといいと思うのです。
そうすると自分の特徴もわかりますし、私は人に語尾が消えると言われて、
絶対消えてないと思ったのですけれども、はい。確かに消えていました。

そして、日本語力をつけること。日本人として、国際人としての教養の上に専門を持つこと。
特に日本語力は発音や話し方だけではなくて、ことわざですとか、
そういうことも入るのですけれども、一般教養も必要です。

対人コミュニケーション能力、やはりまず一目見て信頼していただかなくてはいけない。
その日初めて会った方たちに信頼していただいて、
そしてときにはそういう丸秘のことまで打ち明けていただき、
それから例えば自分たちの企業や組織の将来がかかっていることまで訳してあげなければならない。
そういうことで、まず信頼を得て、そして感じがいい人だなと思ってもらえると。

それからちょっと気難しい方にも、心を開いていただけるような対人コミュニケーション能力、
それから集中力、やっぱり前の日徹夜で勉強するというのは
集中力の妨げになりますから、だめですね。

それから、瞬間的な判断力、
ここがやっぱり翻訳と違って何回も取り出してはまた直してというあれができないので、
瞬間的に最初に頭に浮かんだものを使わなければいけないのです。
最初に何かいいものが浮かぶようにと訓練をしなければいけないと。
昔はよく「度胸、愛嬌、勉強」の3強ですよと講演で言っていたのですけれど
それだけではだめなのだと、このごろは思うようになりました。

そういうことで、今回は通訳や通訳者という話を中心にしましたけれど
こういった内容は、国際コミュニケーションであるとか、
異言語、異文化コミュニケーションにも共通して言えるようなことも多いと思いますし
ただ言葉を訳すのではなくて、色々な背景を訳さなければならないという場合も多いと思うのです。

最後に、日常に行かせる通訳訓練法または通訳訓練を鷹揚した英語学習法・教授法があります。
最初のほうでシャドーイングのお話を少ししましたね。
例えば私がこうやって話しているのを、まず日本語でリピートするのです、3語おくれで。
それから今度英語を聞いて英語を。
それからちょっとできるようになったら日本語で今話しているのを頭の中で英語で訳してみる。
この技術さえできれば退屈なものはこの世にありません。
退屈な講義、もしかしてこの講演が退屈な方はもう実践されているかもしれませんけれど
うちの通訳講座の学生が何人かいますけれど
退屈なものはもう即同時通訳の練習にしてしまおうねと日頃から言い聞かせています。

電車の中で広告を見てもぱっと訳してこれは何というか、
じっくり何回も練っているのではなくて、最初に何が浮かぶかが勝負!という訓練すると。
私の今の講演ではなさらなくていいですから、学生さんなど退屈な先生ってたまにいますよね。
そういう先生のとき、ちょっとトライしてみてください。
英語に直さないまでも日本語の講義を聞いて、日本語に直しているだけで寝ないで済みますから
起きていられるだけでなく、すこしは頭に残りますから、ちょっとやってみませんか、そういうの。

それでは、最後の方になりますけれども、北海道通訳者協会とさっき言いましたけれど
これはプロの通訳が対象です。もし興味ある方いましたら終了後私の方にコンタクトしていただければ
またはそのアンケートの中に書いていただければ連絡先をお教えします。

ということで、あともう一つなのですけれども、
毎年、毎年、札幌国際プラザで外国語ボランティアさんのために雪祭り前などに講演があって
そういった関係でプラザのボランティアの方に講演ですとか、
研修をさせていただく機会が多いのですけれど
たまたま1月22日に私の札幌大学の通訳講座が補講をしますので、
そこに50名ぐらいプラザのボランティアさんを聴講生としてご招待したいと思っています。
プラザの外国語ボランティアさん以外で、ぜひ興味のある方、
ただしこちらはプロとして通訳をしたことのないしていない方、ボランティアさんだけです。
大体のところをカバーできて、ちょっと2分オーバーしましたけれど
これで予定どおりですね、大体。講演終わらさせていただきます。
ありがとうございました。
(拍手)