札幌大学国際文化フォーラム
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そして4番ですけれども、通訳に関する誤解とは、これたくさんあります。
よく同時通訳をするのですって、手品みたいなものでしょうとと言われて
それも実は何語おくれというので、いろいろな例えば最初は英語を聞いて
英語でリピートをする練習から初めて
それから例えば数字をばあっと言って逆に言う練習だとか
それから最初は逐次で1回訳してみてから同じわかっている文章を同時で訳してみたりと
そういういろいろな訓練を経て習得する技術なので、
これは絶対に手品とかではないということが一つ。

それからもう一つ、
両方ペラペラだから通訳ができるというのがかなり間違った考えがあって、
例えば札幌に生まれたときから住んでいるネイティブスピーカーの知り合いがいますけれど
「同時通訳大丈夫ですよね」と言われて
「大丈夫だと思います」と言ってトライしたそうですが、全然できないと。
普通のアドホックみたいのはできるけれども、やっぱり通訳というのは技術なのだなという。

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(携帯が鳴る:携帯の電源切りましょうね、
私の講義の間では携帯が鳴ると私が出ていいという約束があるのですよね、学生の方ね。
「ちょっと今講義中なんだけれども」と言って出たこともあります。
2回目になったら電話器をもらっていいということになっています。あしからず。
特に秘密の方からかかってきそうな方はご注意ください。)
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それから、通訳泣かせ、これ通訳者泣かせは本1冊書きたいぐらいあるのですけれども
ここでもう一つその障害になるものがあって、
通訳の秘密を守る義務、守秘義務というものがあります。
ですから時効なんてないのでしょうね、
きっと当事者がこの世からいなくなっても言ってはいけないのです。
初めのころ、通訳のことだけを考えていましたので、
こんなことを知ってしまった、どうしよう、
夜中に庭に穴を掘って言わなければというような気持ちで、
必死で秘密を守ろうとしたこともありました。
それから、「もしこれがばれたら君からだかね」と言われたり。
そういう人に限ってきっと自分が言ってしまっているのだと思いますけれども。

でもだんだんいろいろな場面がふえて忙しくなるにつれて、
そのとき自分のやっている間は一生懸命するのですけれども、
後は次のことに頭がいってモードが切りかわるのです。
だから例えばそのプロジェクトにかかわっている人はそれだけを考えていますけれども、
私たちはその場に行って、
その場ではあたかももう10年ぐらい働いている会社のような顔をして、
昔ビジネス通訳をやっていたときは、訳したとしても終わったらもう
なぜかあっさり忘れらるようになったのです。