札幌大学国際文化フォーラム
Page 8
それから、無重力学会は去年でしたか、 北大の学術交流会館で女性宇宙飛行士の方がいらして講演をした時ですけれども このときはもう一人の地元のパートナーと訳していて、 2人ともあることで非常に腹が立って、もうちょっとで通訳ブースに立てこもって 事件を起こしそうになってしまいました。 これはよくあることなのですけれども、 講演が終わったあとのQ&Aというのがオーガナイザーの腕のみせどころで、 マイクを持っていってその質問の人にちゃんとマイクを向けて、 その質問の声がブースにまで来るようにしいといけないのです。 ところが、何かの配線がまずくてそのマイクはただのマイクだったのです。 会場の中に大きく聞こえるだけのマイクでブースには来ないマイクだったのです。 それで、「こっちは何言っているかわかりません」と またどんどんどんどんとガラスをたたいたところ 「じゃ聞こえないんだったら1人出てきて聞いて、 そっちを逐次でやって中で1人の人が同時で答えてください」 と言われたので「同時通訳というのは2人がいなければできないものなのです」と言ったところ 「やっているの1人じゃない、いいから早く出てきなさい」とかと、 そういうやりとりになりまして、「2人ではいっていて1人は休んでいるように見えるけれども、 メモをとっているのだからそういうわけにいきません」としばらくやりとりがありました。 そのときいらっしゃった方いますか?・・・いらっしゃらないですね。 それでもう少しで立てこもろうと思ったときに、 今度私が負けて「わかった出ていくわ」と言って、 今度は逐次で全部を訳した、そういう事件がありました。 やっぱり立てこもるわけにはいかないので、あの中は暑いし、狭いし、 特につらい通訳のときほど、終わった資料をばさっと床に投げたくなるのです。 ほんとうは滑ってあぶないのですけれどもう床は紙いっぱい、 ここ水があって何があって、すごい中は戦場です。 拷問室ではないまでも戦場になっています。 だから立てこもろうなんていう気が起きるのも無理がないような雰囲気だったのですけれど 学会はそのくらいで、今度はシンポジウムフォーラムというのが次に載っていますね。 この中で、まだこれは初期の方だったので、特につらかったのでしょうけれど 「国際イカタコフォーラム」そういう名前ではなかったと思うのですけれど 何だか類とかんだか類のフォーラムだったと思うのですけれど ちょっと函館であった水産学向けのもので、とりあえずイカタコフォーラムと呼びましょう。 ここで何がつらかったかというと イカとタコの学名をラテン語名で、学名を5、60ぐらい覚えなければならなくて 普通、経済関係ですとか何かだと、 ああ、今覚えておけばきっと役に立つときがあると言い聞かせながらやるのですけれど 幽霊イカとか、そういうのを覚えてもきっと一生使わないだろうとな思いながらも それで覚え切れない。何かちょっと手の長さ、手か足かわからないですけれど ちょっと違っただけで名前が全然違います。 また、子供のときと成長してからが、こういうのがブリではないですけれど 「出世ウオ」ならぬ「出世イカ」みたいになって、また名前が違うのです、それぞれの段階で。 でもう最後にこれを全部覚えるのは無理だから、 表をつくってどこに何があるかだけを覚えようということになって、 何とかといったら、あっここ、カルタではないのですけれども、神経衰弱みたいに、 あっここ、それを当日ブースにばあっと張って乗り切ったのです。 その後しばらくイカとか、タコは食べたくなかったです。 イカタコオフォーラムではなくて、ちょっと思い出したいのですけれども、思い出せません。 嫌なことって人間忘れるのですね。これは余りつらかったので終わったときに 「やったあ!」と言って資料をふだんは床に捨てるだけで気が済むのですけれども、 そのとき済まなくてちぎったのです。紙吹雪状態。 そして、紙吹雪事件。主催者がお礼を言いに来ました。 学会の会長の先生がお礼を言いにいらしたときは、ブースは吹雪状態。 それ普通の参加者から見えるブースではなくて、 屋根裏というか、ホテルの上の一段高いところでしたので、 こんなになって「イェーイ、終わったァ」と言っているところに挨拶にいらっしゃって 「大変でしたね」と言われました。 ちょっと失礼だったかなと思いますけれど 終わった資料などもごみ箱に捨てていくのでもちょっと気遣いますよね、 その方たちにとってはすごく大事な資料ですけれども、 私たちにとっては二度と見たくない資料というのもありますし、 このごろは通訳講座などを教えるようになって、 ちょっととっておくようになりましたけれど、あのときは紙吹雪状態にしてしまいました。 似たようなもので、イルカ、鯨、これは本当にそういう名前だったのです。 室蘭であったのですけれど、「国際イルカ、鯨シンポジウム」で、 これもでも「白」何だかってついた鯨の名前が英語では「ブルーなんとかホエイル」だったり 結構これも。でもイカタコよりはかわいいから、それほどつらい思い出にはなっていません。 シンポジウムというのは、一方的な講演と違って後で質疑応答ですとか、 ディスカッションがあるのです。 そうすると、ちょっとのずれが大きなずれになっていってしまうので、特に通訳にも気を遣うのです。 |