04-2.道路交通法違反と過失犯の処罰
最高裁昭和48年4月29日第一小法廷判決
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判 決 要 旨
最高裁は、検察官による上告の理由が、判例違反であったため、
適法な上告理由に当たらないとしながら、職権調査のうえ原判決を
破棄差し戻しとした。
「道路交通法70条の安全運転義務は、同法の他の各条に定め
られている運転者の具体的個別的義務を補充する意味で設けられ
たものである。
すなわち、同70条は、他の各条の義務違反の罪以外のこれと
異なる内容をもっているのではなく、他の各条の義務違反にあた
る場合も含む。
他の各条の義務違反の罪の過失犯自体が処罰されないことから、
直ちに、これらの罪の過失犯たる内容をもつ行為のうち同法70条
後段の安全運転義務違反の構成要件を充たすものについて、それ
が同法70条後段の安全運転義務違反の過失犯としても処罰され
ないということにはできない。
被告人の本件後退行為につき、同法70条後段の安全運転義務
違反の過失犯処罰の規定の適用がないとする理由はなく、かえって、
同法70条が他の各条に定められている運転者の具体的個別的ぐむ
を補充する趣旨で設けられていることから考えると、
過失犯処罰の規定を欠く過失犯たる内容を有する行為についても、
同法70条の安全運転義務違反の過失犯の構成要件を充たす限り、
その処罰規定(同法119条2項、1項9号)が適用されるものと
解釈するのが相当である。」
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