04-3.道路交通法違反と過失犯の処罰

 最高裁昭和48年4月29日第一小法廷判決

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 ま と め


  本件では、道交法25条の2第1項違反の罪の過失犯の
 内容を持つ被告人の後退行為を、70条後段の安全運転義務に
 違反する過失行為として、その過失犯処罰規定である119条
 2項で処罰しうるかが争点となるが、問題点は、道交法25条の
 2第1項違反の罪も70条違反の罪も、故意犯であれば119条
 1項で「3月異化の懲役または5万円以下の罰金」に処される
 のだが、過失犯の場合には、119条2項によると、過失に
 よって70条違反の罪を犯した場合には処罰の規定があるものの、
 25条の2第1項違反の罪を犯した場合については処罰規定が
 ないことである。


 
     故意過失
25条の2第1項違反処罰規定あり処罰規定なし
70条違反処罰規定あり処罰規定あり
  また、本件では、70条の義務違反の罪と他の各条の義務  違反の罪が、法条競合によることを指摘しているが、処罰  規定がある70条と、処罰規定がない25条の2第1項の関係  において、法条競合を持ち出すことには無理があるといえる。  - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
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