05-3.交通犯罪捜査の事務の帰属
 最高裁昭和54年7月10日第三小法廷判決  - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -  ポ イ ン ト  1.自治体警察の組織法上の位置付けがどこにあるのか   (自治体or国)  2.自治体警察の事務を団体委任事務と見るか機関委任事務    と見るか(警察権の主体が自治体or国のどちらにあるのか)  多数説(団体委任事務)
   都道府県警察の行う事務は自治事務で都道府県の公権力の   行使であり賠償責任は全て自治体にあるとする説。  少数説(機関委任事務)    都道府県警察は国から委任され設置したものであって国と   都道府県の共管事項であり、都道府県警察は国の機関委任   事務であると解し、国にも賠償責任があるとする説。  本判決では警察権は原則として都道府県の団体事務であるとした。  - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -  この判決が持つ意味   都道府県警察の警察権の主体、責任の帰属主体は自治体に  あると解するのが通説であったが、下級審の裁判例には反対の  立場に立つものもあり学説の中にも異論があった。   しかし、この判決は、自治体警察の組織法上の位置付けを  明示し、責任の帰属主体が自治体にあると最高裁で最初に判断を  示したものとして重要な意味を持つ。  - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - 事例を担当してみてのコメント  本判決は事務の帰属が大きな問題でした。   私は本判決の判決要旨にも有るように自治体警察の警察官は  司法警察職員であり、国が自治体警察の長の任免権を持って  いるとしても自治体の警察官の事務を国の事務であるとして  賠償責任を求めるには根拠が足りないと思います。  従って最高裁の上告棄却の判断を私は指示したいと思います。  - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
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