<!--This file created 08.7.26 1:07 PM by Claris Home Page version 2.0J--><HTML><HEAD>   <TITLE>yoshida51j</TITLE>   <META NAME=GENERATOR CONTENT="Claris Home Page 2.0J">   <META HTTP-EQUIV="Content-Type" CONTENT="text/html;CHARSET=x-sjis">   <X-SAS-WINDOW TOP=68 BOTTOM=768 LEFT=8 RIGHT=538></HEAD><BODY BGCOLOR="#FFFFFF"><P><CENTER><B><FONTSIZE="+2">『知覧からの手紙』戦時中の若い恋人の手紙</FONT></B></CENTER></P><P ALIGN=RIGHT><FONT SIZE="+1">４年　吉田　文恵</FONT></P><P>「智恵子　会いたい、話したい、無性に。」</P><P>　これは父から渡された一冊の本の帯に書かれていた言葉だ。今年の２月、両親が九州に旅行に行ったとき、鹿児島の知覧町という小さな町を訪れた。そこは第二次大戦中、神風特攻隊の基地があった町であり、父は歴史が好きなのでとても喜んで訪問したそうだ。そこにある平和記念館を訪れた際に父は私への土産として『知覧からの手紙』を選んでくれたのだ。</P><P>　「これでもう少し歴史の勉強をしなさい」と父はこの本を渡してくれた。最初は戦争の、神風隊の話でしょ？それなら歴史で勉強したと思い、あまり読む気にはならなかったが、帯に書かれていた言葉に惹かれた。</P><P>　この本はドキュメンタリーであり、本文に出てくる人、手紙は実在している。そして、手紙の一方の書き手伊達智恵子さんは現在83才で、彼女とのインタビューを交えて、水口文乃さんが本に纏め、2007年新潮社から発行したものである。ノンフィクションであるとはいえ、美しいフィクションとして読める作品となっている。</P><P>　話は昭和16年に飛ぶ。この本の主人公は穴沢利夫さんと伊達智恵子さんの二人である。二人は東京の図書館で知り合った。大学生の穴沢さんは伊達さんよりも２つ年上で、伊達さんは司書見習いで図書館に行っていた。そしてそこでアルバイトをしていた穴沢さんと出会った。出会って１年ほどした後で、穴沢さんは彼女をデートに誘った。それを伊達さんは拒んだが、穴沢さんは諦めなかった。何度も手紙を交換し、徐々に伊達さんも穴沢さんに惹かれていった。彼らはお互いを想いあっていたが、時代は戦争中。大学生でも徴兵を逃れることは出来ず、1943年穴沢さんは「制空ヲ期ス」と書かれた手紙を伊達さんに渡し、特攻隊員に志願していった。</P><P>　伊達さんは彼の消息を失い、会いたい一心で彼のいた辺りの人たちを訪ね回った。彼を捜して西日本を飛び回り、九州までたどりついた。そして彼に会うことが出来た。飛行隊での多忙な訓練の最中に彼らは婚約した。しかし、そのような状況での婚約は、穴沢さんの親族の理解が得られず破棄となってしまったが、二人は強い愛で結ばれていた。</P><P>　彼が残した最後の手紙は、それは彼の遺書でもあるが、1945年4月16日に伊達さんの家に配達された。そこには、この世でやりたかったことが以下のように書かれていた。１、読みたい本、「万葉集」「芭蕉句集」高村光太郎の「道程」三好達治の「一点鐘」大木実の「故郷」。２、鑑賞したい画、ラファエルの「聖母子像」、芳崖の「悲母観音」。３、智恵子、会いたい、話したい、無性に。その手紙には「あなたは過去に生きるのではない（略）あなたは、今後の一時々々の現実の中に生きるのだ。穴沢は現実の世界には、もう存在しない」。</P><P>　彼ら国を守ろうとして身を捧げた若者たちは、自分の発言や手紙のなかで本心を打ち明けることはなかったかもしれない。彼らが生きていたのは、時流に逆らうと間違いなく非国民と呼ばれる時代であった。今の日本では考えられないような事をやってのけたその当時の若者は、純粋な精神と強い意志を持っていた。「天皇陛下のために」「お国のために」と教育されてきたその時代の人たちはそれを本当に実行し、国のために身を捧げたのだ。本人はもとより父親にとっても、母親にとっても、恋人たちにとってもこれ以上の悲劇はない。こんな悲劇は二度と繰り返したくはないし、させてはならない、という思いがヒシヒシと伝わってくる一冊である。</P><P>　戦争中の事は社会科で習った。実際に祖父母からも話を聞いている。しかし実際それを体験した者でないとやはり本当の理解はできない。いろいろな戦争にまつわる話があるが、それを重要なものとして受け止めるかどうかは、現代の日本人にまかされているのである。現代の若者も彼ら戦時中に国のために身を捧げた若者と同じ状況に置かれることがあるのではないだろうか。例えば、憲法第９条を考えるときやイラクの内乱を思うときなどは、それを我が身に起こりうる問題として考えているだろうか。『知覧からの手紙』はそれを突きつけているようである。</P><P>　</P><P><CENTER>　<HR></CENTER></P><P><CENTER><A HREF="../51english/yoshida51e.html">English<BR></A><A HREF="../51english/topic51">Topics<BR></A><A HREF="../index.html">Index</A></CENTER></P><P>　</P></BODY></HTML>