授業
『ロシア社会概論』のレポート拝見

はじめに

 これは連続講義のなかの1コマである。与えられた2回分のうち、初回を語学面から、そして2回目を文化面から、ロシアについて多少なりとも理解しようというのがねらいである。
 初回の参考書には『ロシアの言語と文化』戸辺又方著、ナウカ社発行を選び、その中から『ロシア語とロシア人』の章を選び、あいさつには相手の名前を添えるとか、「私におめでとうと言ってください」などの直截な表現をするとか、レアリアの問題が大きいなどを紹介した。
 2回目が川端先生の見解である。文庫本とはいえ、これを90分で消化することはできなかった。キーワードを板書して、典型例や論旨をおおづかみして、努力して、やっと13章くらいまで終わった。終業のベルが鳴ったときは、私はへとへと、学生はやれやれの顔だった。この本は9月のうちに大学生協に20部ほど授業用に発注しておいたが、やがて売り切れた。そしてレポートの提出である。回収には次の担当者をわずらわせたが、登録26名のうち、18名の提出があった。うち2名のレポートは、受け取るわけにはいかなかった。

川端香男里著『ロシア その民族とこころ』(講談社学術文庫、1998年)の指定された範囲を読んで、著者の見解とその根拠を手際よくまとめること。字数は800字(780〜820字の範囲)。提出期限は、2週間後の98年10月30日。

 これが課題と作成条件だった。引用の仕方には注意することや、論点を絞ることなどを喚起したつもりだった。


 ホームページをご覧の方に参考までに目次を列挙しておきます。もし興味あるテーマ、または学生のものと比較したい衝動にかられたときには、どうぞ該当の箇所をクリックしてください。出来映えのほどは、学生の手習いということでご容赦ください。

序 章 ロシア的なるものとは

第1章 「祖国」と自然

第2章 プーシキンと「秋」

第3章 風土と自然

第4章 毛皮の歴史

第5章 ロシア人の旅

第6章 「風」東西南北の意識

第7章 都市の成り立ち

第8章 農村と農民

第9章 美について

第10章 近代の美術

第11章 文学の[金]の時代

第12章 トルストイとドストエフスキイ

第13章 女性について

第14章 [銀]の時代からアヴァンギャルドへ

第15章 多民族国家

第16章 ロシアとソ連

第17章 21世紀への展望

解 説  桑野隆(東京大学教授)


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